これまで戸籍に記載がなかった氏名の振り仮名を必須とする改正戸籍法が来年施行される。施行後は、全国民が振り仮名の届け出を求められ、届けがなければ自治体が職権で戸籍に振り仮名を記すことになる。いわゆる「キラキラネーム」には一定のルールも設けられるが、マイナンバーカードの普及を背景に進む大改正には、じわり懸念の声も。あなたの名前はどうなる?

◆膨大な登録作業「勝手に改名されてしまうかも」

 改正戸籍法はマイナンバー関連の法案と併せて国会で審議され、昨年6月に成立した。来年5月ごろをにらむ施行に合わせ、本籍地の市区町村が振り仮名の届け出受け付けを始める。届け出には郵送や、マイナンバーカードの専用サイト「マイナポータル」を使う。
 届け出を促すため、市区町村は住民票などで把握してきた氏名の読み方を参考として、全国民に郵送で通知を送る。通知は同一住所にいる世帯ごととし、姓は戸籍の筆頭者、名は本人が届け出る。1年以内に届けがなければ、自治体の職権で振り仮名を戸籍に転載することになる。
 これに対し「勝手に改名されてしまうかもしれない」と心配するのが、静岡市のライター澤田真一さん(39)だ。
 真一は「しんいち」ではなく「まさかず」と読むが、初対面の人からは「一度も正確に名前を呼ばれたことがない」。もちろん「まさかず」で届け出るつもりだが「これほど重大な変更を、多くの国民が知らないのは広報不足。よほど厳しいチェック体制がないと、また間違えられるのではないか」と心配する。

◆「最終的にどういう振り仮名が付いたか通知する予定はない」

 戸籍に異なる振り仮名が載ったらどうすれば良いのか。東京新聞「こちら特報部」が法務省に尋ねると、届け出がなく自治体職権で記載した場合や、届け出を反映する際の登録ミスによって、自分が使っているものと異なる振り仮名が戸籍に記載された場合、1回に限り訂正の届け出が認められる。その後の訂正は家庭裁判所の許可が必要となるという。
 ただし「最終的に戸籍にどういう振り仮名が付いたか、国民に通知する予定は今のところない」と担当者。戸籍の振り仮名情報は住民票やマイナカードにも反映されるが、数年後になって違うことに気付く、という事態も起こりそうだ。

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