「過疎地でも連綿と続いて来た文化があります」

能登半島地震をめぐって石川県珠洲市出身の女性が投げかけた投稿に、SNS上で大きな共感が広がった。
地元が誇る伝統行事「キリコ祭り」への思いをつづり、人口減が続く「田舎」にも大切に育まれてきた固有の文化があると訴えたものだ。
一連のポストには、4万超の「いいね」がつき、「何年かかっても復活して欲しい」といった声や、祭りの思い出や写真が続々と寄せられている。

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「田舎の僻地でロクな娯楽もなく、金沢まで出ようと思ったら車で3時間半もかかるケばかりの土地で育った」
そうつづるtoffeeさんにとって、老若男女が力を合わせ、巨大な燈籠山を曳き回す祭りは「何よりもダイナミックで心踊るもの」だった。
町全体が活気で満ちる年に一度の機会は「それこそハレの日」。豪華で勇壮な祭りが、能登育ちの自慢だった。

小学生の時には、街角に設けられた舞台で「手踊り」を披露。「田舎でその時だけ主役になれたような気分」が誇らしく、
思春期を迎えると、朝まで山車を曳き回す大人たちに加わって「背伸び」した気分にもなった。
太鼓、笛、鐘の音に、「ヤッサー、ヤッサ」の力強いかけ声……今でもその音を聞くと胸が高鳴り、「肉体に刻まれた祭りのDNA」が疼き出すという。

能登では毎年、祭りの季節に親戚や友人同士で招き合って、それぞれの地域の祭りをともに楽しむのが慣わしだ。
そうした時間が人々にとってかけがえのない生活の一部なのだと、toffeeさんは言う。

「田舎であればあるほど、このような祭り文化と人々の暮らしは切っても切れない」
「それを失うことは、その人のアイデンティティをも失うことに他なりません」

https://news.yahoo.co.jp/articles/e9d87588d3f6668971adef4bde626a075c2aa367