
長崎県対馬市長選は3日に投開票があり、現職の比田勝尚喜氏(69)が新顔の飲食店経営・荒巻靖彦氏(59)=いずれも無所属=を破って3選を決めた。当日有権者数は2万3674人、投票率は64・50%だった。
比田勝氏は、元市職員で農林水産部長や副市長を歴任。自公の推薦のほか、漁協など島の基幹産業に携わる業界団体から幅広く支援を受けた。島の人口減少の歯止めなどを掲げ、移住・定住施策や雇用の拡大を強調。3期目の市政運営に向け「まだまだブラッシュアップしていかなければならない」と主張した。
選挙戦では、原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場をめぐり、国の選定プロセスの第1段階となる「文献調査」を受け入れない方針を昨年9月に表明したことにも言及した。当選の報を受けて、比田勝氏は「文献調査を受け入れない判断について、行く先々で市民の皆様から感謝の言葉を頂いた」と述べた。
前回の市長選にも立候補した大阪出身の荒巻氏は、島に住み込んで選挙戦を展開。「誘致以外には口出しいたしません」と最終処分場の問題だけに争点を限定したが、広がらなかった。
最終処分場をめぐっては、昨年に建設業団体が「文献調査」を求める請願を市議会に提出。市議会は請願を賛成多数で採択する一方、市民団体を中心に反対運動も起き、島を二分する議論に発展した。比田勝氏は「市民の分断を深めたくない」として市議会で反対を表明していた。(小川崇、小川裕介)
https://www.asahi.com/sp/articles/ASS337526S31TOLB008.html