奄美大島の外来マングース、9月にも「根絶宣言」 5年以上捕獲ゼロ

 希少な野生動物を襲う特定外来生物フイリマングースの防除が進められてきた奄美大島(鹿児島県)で、今年9月にも「根絶宣言」が出される見通しになった。環境省が2月27日に同県奄美市で開いた有識者や関係機関による検討会で明らかにした。

 奄美大島は2021年に世界自然遺産に登録され、在来の希少な野生生物を保全する取り組みが進む。マングースが根絶したと正式に判断されれば、世界的にもまれな規模で外来種の根絶に成功した事例になる。

 環境省によると、23年度は島内全域に約2万基のわなを仕掛け、探索犬やセンサーカメラ449台でマングースの生息確認を進めた。18年4月を最後に5年余り捕獲実績はなく、23年度も住民からの目撃情報を含め、生息確認につながる情報はなかった。

 検討会では根絶の確率について科学的に判断するため、二つの算出モデルを作った。捕獲やモニタリングなどの作業実績をもとに推定する手法と、最後の捕獲後にメス1匹が生き残っていたと仮定して推定する手法。23年度の作業実績が22年度と同じだったと想定して計算した結果、根絶確率は前者が99・8%、後者が98・8%だった。

 検討会はこの数値などをもとに「根絶したと考えられる」との仮の判断を示した。23年度の作業実績のデータなどが確定後、改めて根絶確率を計算し、夏ごろの検討会で正式に根絶の判断をする見通し。

 検討会座長の石井信夫・東京女子大名誉教授は「捕獲を続けると根絶確率は上がっていくが、希少種の混獲も発生する。数値的にもいいタイミングでの判断ではないか」と話した。

 マングースは1979年ごろ、ハブやネズミの駆除に有効だとして放たれ、島内で繁殖した。だがアマミノクロウサギやケナガネズミなど在来の希少動物を襲っていることが分かり、2000年度から国が本格的な防除事業を始めた。

 わなでの捕獲は当初、年間3千匹を超え、捕獲に専従するマングースバスターズや探索犬も導入された。推定生息数はピーク時の00年に約1万匹だったが、20年には10匹以下とされた。

 マングースは沖縄島でも繁殖しており、環境省が防除を進めている。(奄美通信員・神田和明)

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