「国際社会からずれている」

国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種レッドリストによると、ミンククジラとニタリクジラは危機的状況にない。イワシクジラは絶滅が危ぶまれているが、個体数は増えているとされる。
グリーンピースやシー・シェパードなどの動物保護団体は、日本の捕鯨再開への反対を表明している。しかし、具体的な反対行動は予定していないと話す。
グリーンピース・ジャパンのサム・アネスリー事務局長は昨年、政府が捕鯨再開の計画を発表した際に、日本は「国際社会からずれている」との声明を出している。
鯨肉が広がったのは戦後
日本は他の捕鯨国と同様、クジラを捕って食べるのは固有の文化の一部だと訴えている。
日本の沿岸部には、何世紀にもわたってクジラ漁を続けてきた地方もある。しかし、鯨肉が広く消費されるようになったのは第2次世界大戦後の食糧難がきっかけだった。
捕鯨は日本において小規模な産業で、現在約300人が携わっている。
残酷? 偽善的?
持続可能性の問題に加えて、捕鯨に反対する人々が主張するのが、もりを使った漁は残酷だという点だ。もりを使うと、クジラは長時間、苦痛にさらされた末に死ぬとしている。
ただ最近の捕鯨は、クジラを一瞬で殺す手法を目指している。捕鯨の支持者らは、食肉の工業的な生産現場の状況と比べながら、ほぼ全世界的な反捕鯨の感情はあまりに偽善的だと主張する。
一時的ではなく永続的に禁止
クジラは19世紀から20世紀初めの乱獲により、絶滅の危機に直面した。IWCの全加盟国は1986年、クジラの個体数の回復を目的に、一定期間の捕鯨禁止で合意した。
日本やノルウェー、アイスランドなどの捕鯨国は、持続可能な捕獲頭数の割り当てについて加盟国が合意するまでの一時的な禁漁と受け止めていた。ところが、捕鯨禁止はほとんど永久的な措置になってしまった。
日本は1987年以降、IWCの科学調査を目的とした例外措置のもとで、年間200〜1200頭のクジラを殺してきた。
調査目的のクジラが販売される
しかし、調査名目で殺されたクジラの肉はたいてい販売されることから、日本は商業目的を隠すため調査と偽ってクジラを捕っているとの批判が出ている。
日本は昨年、持続可能な割り当ての範囲での捕鯨を認めてもらおうと、IWCへの説得を試みたが失敗。今年7月をもってIWCから脱退した。
ただ、日本がいくら捕鯨に固執しようと、この対立を招いている問題は徐々に自然消滅していく可能性が高い。
日本での鯨肉の需要は、長期的な下降傾向にある。捕鯨産業は、補助金なしではやっていけない。将来、商業捕鯨は単純な算数によって終わりを迎えるかもしれない。

https://www.bbc.com/japanese/48821979