ネットで先鋭化する“境界知能” 障害とは診断されない“はざま”の生きづらさ 「レッテル貼りに使われると検査や支援の検討困難に」専門家は危惧

境界知能=低学歴のレッテル貼りは危険

太田氏は、「境界知能」という言葉は支援が受けられず困っている人へのサポートのためにあり、低学歴のようなレッテルとして使われると抵抗感が生じ検査・支援の検討が困難になると危惧する。

「ネットを見る限り非常に侮蔑的に、他人を批判するための言葉として使われてしまっている。IQ検査をして“あなたは境界知能だ”と伝えるのは非常に気を遣うし、言われた方もショックを受ける。そういう中で、患者さんや当事者から離れた場所でワードだけが使われてしまうと、偏見に繋がって必要な検査ができなかったり、本人を傷つけてしまったりする」

佐々木俊尚氏

 言葉だけが一人歩きしてしまう要因として、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「ネットの人たちは、いかに相手が気持ち悪くなるかという罵倒用語を探している。今までは知的障害者やアスペと呼んだりしていたところに、境界知能という言葉が出てきて、これ幸いと使う層が一定数いる」と指摘する。

 太田氏は「境界知能で困っている人とちゃんと接したことがないのだと思う。外来に来ている人たちは非常に苦しんで悩んで過ごしている。その人を罵倒する気持ちには通常ならないだろう。頭の中のワードと実態がずれているのが現状だと思う」とした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/05176dabae5a4e76b09c5238dd1f9eb721359a54?page=2