
公取委、日産に下請法違反で勧告 過去最高、計30億円の減額を認定
「割戻金」の名目で下請け業者に代金の引き下げを迫っていたとして、公正取引委員会は7日、日産自動車(横浜市)の下請法違反(減額の禁止)を認定し、再発防止や順法体制の整備を求める勧告を出した。過去最高となる30億円の減額も認定した。
公取委によると、日産は2021年1月~23年5月、自動車部品を製造する計36の下請け業者に対し、総額30億2367万円の減額を求めていた。発注時に決めた金額から一方的に数%を減額していたという。日産はすでに下請け業者に減額分を返金した。
関係者によると、同様の行為は約30年前には行われており、社内で常態化していたとみられる。勧告では、経営責任者が中心となって順法管理体制の整備をはかることも求めた。
公取委は、自動車業界で下請法違反や違反のおそれのある行為が相次いでいるとして、近く業界団体の日本自動車工業会に下請け業者との適正な取引を進めるよう要請を出す方針だ。
日産自動車は7日、「本勧告を大変重く受け止めている」としたうえで「法の順守状況についての定期的な点検体制の強化、並びに役員や下請け取引に関わる従業員への教育の徹底及び定期的な研修の実施など、法令順守体制の強化を行うとともに、再発防止策の徹底に取り組み、今後の取引適正化を図っていく」とのコメントを出した。
日本商工会議所の小林健会頭は同日の会見で「後から値下げを別に要求する行為は極めて遺憾なことだ」と述べ、「社会的な影響が強い話であり、(経営)トップが出てきて説明する責任があると思う」との見解を示した。(高田正幸、近藤郷平)
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