米軍は8日、鹿児島・屋久島沖で昨年11月に発生した墜落事故を受けて、約3カ月にわたり飛行を見合わせていた米軍輸送機オスプレイの運用停止措置を解除したと発表した。同時に日米両政府は、在日米軍と陸上自衛隊が運用するオスプレイの飛行再開については「引き続き緊密に調整する」との声明を発表。防衛省は今後、米軍基地がある自治体に説明し、具体的な再開時期を探る。米メディアによると、完全な任務再開には数カ月かかる見通しだという。
事故原因は、機体の機能を発揮させるために必要な構成品の中の特定の部品の不具合だったと説明。オスプレイの設計や構造に問題はないとした。過去のオスプレイの事故原因として指摘されてきた「ハード・クラッチ・エンゲージメント(HCE)」と呼ばれるプロペラとエンジンをつなぐクラッチの不具合の可能性は否定した。
安全対策として、機体の整備や手順を変更。異常探知システムによる予防的点検と整備の頻度増加▽機体の整備記録の確認▽通常時・緊急時の搭乗員の手順の更新▽運用計画の更新――などを挙げた。
運用停止解除にあわせて日米両政府が発表した共同プレスリリースは、在日米軍と陸自が運用するオスプレイの飛行再開時期の明示を見送り、「日米間で引き続き緊密に調整する」と述べるにとどめた。「オスプレイは、すべての整備、安全及び手順の変更が実施された後にのみ運用される」とした。
事故機を運用していた米空軍は8日、飛行再開に向けた3段階の手順を発表した。地上での訓練や操縦資格の再取得などを経て、最終的に任務を再開するとしている。米軍の原因分析や安全対策について、防衛省は合理的だと評価し、「陸自のオスプレイも含め安全に運用を再開できる」との見解を示した。
墜落事故は昨年11月29日に発生。乗員の米兵8人全員が死亡し、米軍は12月6日からリスク軽減のために全てのオスプレイの運用停止措置をとった。
日本国内に配備されているオスプレイは在日米軍29機、陸自14機の計43機。陸自オスプレイも事故を受けて飛行を停止している。
木原稔防衛相はこれまで、米軍の対応が適切だと日本が主体的に判断することを運用再開の条件に挙げ、防衛省の担当部局が事故状況や安全対策について米側の専門部局と意見交換を続けていた。
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