福島第一原発事故当時 茨城県が住民避難の抑制を福島県に要請
2011年に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故で、当時、大勢の福島県の住民が避難する中、隣接する茨城県が福島県に対して、避難指示が出ていない地域の住民の避難を抑制するよう文書で要請していたことがNHKの取材で分かりました。
福島第一原発の事故で当時、国は、周辺の住民に相次いで避難指示や建物の中に留まる屋内待避指示を出しました。
しかし、水素爆発が起きるなど事態が深刻化すると、国による避難指示が出されていない地域の住民も福島県の内外へ自主的に避難を始めました。
そうした中、茨城県が福島県に対して、避難指示が出されていない住民の避難を抑制するよう要請していたことがNHKが行った情報公開請求で分かりました。
茨城県が公開した文書によりますと、要請は事故の発生から5日後の2011年3月16日に茨城県知事から福島県知事に宛てて出されたもので、「避難が要請されていない住民には、個別自動車による避難をできるだけ抑制されるようお願いします」と求めています。
茨城県は当時、避難指示が出ている福島県の住民の受け入れを進めていましたが、それ以外の地域からも避難する人たちの車で深刻な渋滞が発生していて、緊急車両への給油に支障が出るなど不安や影響が広がっていたということです。
要請を行ったことについて茨城県は「行政の指示に従って避難行動をとるという、原子力災害時の対応をとってもらうため、必要なものだったと認識している」としています。
一方、福島県は要請があったことは認めたうえで、「実際に呼びかけを行ったかどうかは当時の記録からは確認できない」としています。
全国では原発事故に備えた避難計画が作られていますが、福島第一原発の事故が広域で避難する難しさを改めて浮き彫りにしています。
略
https://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20240308/6050025522.html