世界株高から置き去り「沈む中国株」の根本要因 トランプ勝利でどうなる?
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3/11(月) 5:41配信

 日経平均株価が34年ぶりに史上最高値を更新するなど、世界主要国が株高に沸く中、中国株は完全に置き去りにされている。中国の主要株価3指数(上海総合、上海深セン300、香港ハンセン)は、コロナ禍が世界に広がり始めた2020年初の水準を足元で下回っている(下チャート参照)。中国経済に何が起きているのだろうか。

■なぜ中国経済の勢いが弱いのか? 

 現在の中国経済の勢いは弱い。人民元で計算される2023年の実質GDP成長率は筆者手元計算で前年比+4.57%まで低下している。特に弱いのが、設備を含む固定資産投資や住宅を含む不動産開発投資だ。これが直近3年間、下降トレンドを辿っている。恒大集団の不良債権問題がたびたび紙面を賑わしているが、国内の投資が冷え込んでいる証左と言えるだろう。
 ただし個人消費には持ち直しの動きがある。例えば2023年の小売売上高は過去最高を記録している。また製造大国として引き続き巨額な貿易黒字も計上している。ゆえに大崩れしているわけではない。先行きに不透明感はあるものの、現時点では一部の経済指標にいったん底打ちの兆しも見え始めている。これが今の中国経済の状況だ。

 なぜ中国経済はかつての勢いを失ったのか?  このきっかけとなったのは、2020年6月の香港国家安全維持法の施行だ。1997年に香港が中国に返還されて以後、2047年まで(50年間)保障されていたはずの香港の「一国二制度」がもろくも崩れ去り、民主派の女神と呼ばれる周庭(アグネス・チョウ)氏が逮捕されたことが記憶に新しい。
 これを受けて旧宗主国の英国を中心にファイブアイズが一致団結して香港・中国政府を非難。アメリカは香港自治法に違反した個人や法人に対して、信用供与の停止を行うなど金融制裁を展開した。それから主にG7と中国の関係は悪化の一途を辿っている。

 習近平氏は経済よりも権力集中を優先しており、この流れが現在に至るまで継続している。2023年には国内で反スパイ法が改定され、曖昧な法解釈による逮捕事例が続出。G7各国は駐在員を削減、新規投資を手控え、出資を引き上げるという動きに繋がっている。これがいわゆる脱チャイナ、中国リスク低減(デリスキング)の流れである。それが累積し、今になって猛烈な中国からの資金流出に繋がっているのだ(下グラフ参照)。