工藤会トップの野村悟被告への死刑を破棄、無期懲役判決…福岡高裁が１審の共謀認定方法認めず
https://www.yomiuri.co.jp/national/20240312-OYT1T50034/
市民を襲撃した４事件で殺人罪などに問われた特定危険指定暴力団工藤会（本部・北九州市）トップで総裁の野村悟（７７）、
ナンバー２で会長の田上不美夫（６７）両被告の控訴審判決が１２日午前、福岡高裁で始まった。
市川太志裁判長は野村被告について、１審・福岡地裁の死刑判決を破棄した上で、４事件のうち１９９８年の元漁協組合長射殺事件については無罪とし、無期懲役を言い渡した。
１審で無期懲役を言い渡された田上被告については控訴棄却とした。両被告が起訴されているのは〈１〉同射殺事件のほか、〈２〉福岡県警の元警部銃撃（２０１２年）、
〈３〉看護師刺傷（１３年）、〈４〉元漁協組合長の孫の歯科医師刺傷（１４年）の各事件。
控訴審で、弁護側は１審に続き、野村被告の全面無罪を訴え、４事件について野村被告の関与はなく、田上被告らがそれぞれ独断で事件を起こしたと強調。
首謀者については〈１〉は元工藤会系組員の男（７７）（無期懲役で服役中）、〈２〉は同会ナンバー３だった同会幹部菊地敬吾被告（５１）（１審で無期懲役判決、控訴中）、
〈３〉、〈４〉は田上被告――と主張していた。
福岡高等裁判所
控訴審判決は、〈１〉で、野村被告が首謀者として田上被告ら組員に指示したと認めた１審判決の共謀認定方法は、論理則・経験則に照らして認めることはできないと判断。
「破棄を免れない」とした。〈２〉、〈３〉、〈４〉の事件については両被告の共謀は認められると判断した。
１審判決は、４事件とも指示を直接示す証拠はなかったが、工藤会の上意下達の厳格な組織性や、野村被告に事件を起こす動機などがあったと認定。その上で、野村被告を首謀者と結論付けていた。
