米ボーイング機の安全性問題を告発した元従業員、遺体で見つかる

3/12(火) 14:36配信

バーネット氏は2010年から、主に長距離路線で使用される最新鋭旅客機「787ドリームライナー」を
製造するノース・チャールストン工場で、品質管理者として働いていた。

同氏は2019年、BBCの取材に対し、製造ラインではプレッシャーをかけられた作業員が、
基準を満たしていない部品をごみ箱から持ってきて機体に取り付けることもあったと証言していた。

また、非常用酸素系統に深刻な問題があり、緊急時に4個に1個の酸素マスクが機能しない可能性があるとしていた。
非常用酸素系統は、航行中に客室与圧システムが故障した時にはたらき、乗客と乗員の命を守るもの。
酸素マスクが天井から降りてきて、シリンダーを通して酸素を供給する。

■機体の製造を急ぎ、安全性を損なっていると

バーネット氏はサウスカロライナ州での仕事を初めて間もなく、新しい航空機の製造を急ぐあまり、
組立工程が急かされ、安全性が損なわれているのではないかと懸念するようになったと述べていた。ボーイング側はこれを否定した。

同氏はその後、ボーイングでは機体の組立工程でひとつひとつの部品を追跡することになっているが、
作業員がこれを守らず、欠陥のある部品が紛失しているとBBCに語った。

製造ラインでの遅れを回避するため、作業員が基準を満たしていない部品をごみ箱から持ってきて機体に取り付けることもあったという。
「787ドリームライナー」に搭載予定の非常用酸素系統の試験では、300基で試験を行ったところ、
75基で酸素系統が作動せず、故障率は25%だったという。

バーネット氏はこうした懸念を上司に知らせたが、何の措置も取られなかったと主張した。

ボーイング側はバーネット氏の主張を否定した。しかし、米連邦航空局(FAA)による2017年の調査では、バーネット氏の懸念の一部が正当だと判明した。
この調査では少なくとも53点の「不適格」部品の所在が分からず、行方不明になったと考えられることが立証された。
ボーイングには改善措置が命じられた。


ボーイングを退職したバーネット氏は、同社を相手に裁判を起こし、長期にわたり闘っていた。
同氏は問題を指摘したことでボーイングから名誉を傷つけられ、キャリアを阻害され、最終的には退職を余儀なくされたと訴えた。
ボーイングはこれに対し、バーネット氏は長年、退職について計画しており、退職自体も自主的なものだったとした。

バーネット氏は死亡した当時、裁判に関連した法的な聴き取りのためチャールストンに滞在していた。
同氏は先週、正式な宣誓供述書を提出。ボーイング側の弁護士から尋問を受けたあと、同氏の弁護士による反対尋問が行われていた。

9日にさらなる尋問が予定されていたが、バーネット氏は現れなかった。
滞在先のホテルの駐車場に停められていた同氏所有のトラックの中で、死亡しているのが見つかった。

バーネット氏の弁護人は、「悲劇的な」死だとBBCに語った。
ボーイングは声明で、「当社はバーネットの死を悲しく思っている。
彼の家族と友人に思いを寄せている」とした。

https://news.yahoo.co.jp/articles/9db02365bd1ba5f8d213c1b24a31d28eeff0214c