https://www.sankei.com/article/20231212-CDBT7MNOZVNSBIKMFLNBS3AIKI/

サラダに「カエル混入」は新鮮な証し? ネット社会では相次ぐ寛容論

ファミリーレストランの全国チェーン「サイゼリヤ」(埼玉県吉川市)が展開する関東の3店舗で10月、サラダに生きたカエルが混入していたことが明らかになった。レタスに付着したまま工場での検品をすり抜け、テーブルに並んだ可能性が高い。自社栽培に取り組むほど、レタスの品質にこだわっていたサイゼリヤ。インターネット上では、カエルの混入をそれほど騒ぎ立てるべきではないという「寛容論」も目立った。

検品すり抜けか
サイゼリヤが客に提供したサラダへのカエルの混入は、10月18日に小田原ダイヤ街店(神奈川県小田原市)▽同19日に川崎日航ホテル店(川崎市川崎区)▽同21日に阿佐ヶ谷駅南口パール商店街店(東京都杉並区)−の3店舗で相次いで確認された。

同21日に家族3人で阿佐ヶ谷駅南口パール商店街店を訪れた女性客によると、「小エビのサラダ」と「モッツァレラのサラダ」を注文。小皿に分けて3人で食べていたところ、右後ろ脚が欠損した体長3センチほどのカエル1匹が皿の中から飛び出した。アマガエルとみられる。

同社は、サラダの原材料であるカット野菜のレタスにカエルが付着したまま、自社の神奈川工場での検品をすり抜けた可能性が高いと判断。女性客に報告した上で、保健所の調査を受けた。

レタス「擁護」も
サイゼリヤでは、レタスをサラダの主役≠ノ位置づける。「小エビのサラダ」や「モッツァレラのサラダ」といった人気メニューはいずれも500円以下。福島県の白河高原に自社農園を整備するなどし、安価で質の高いレタスの提供を目指してきた。

同社が今回のカット野菜の製造工程を調査したところ、レタスは丸い塊のまま調達。神奈川工場において、目視の上で異物を除去し、洗浄した後に店舗へと送っていた。10月25日以降、外側の葉を1枚ずつ剥がし、裏表を確実に点検する再発防止策を講じている。

同社は「お客様には多大なるご心配とご迷惑をおかけしたことを、深くお詫び申し上げる」と謝罪。その一方、インターネット上では「虫やカエルさえも寄り付かない野菜を食べるほうが、よっぽど体に悪い」「自然に近くて新鮮な証じゃない?」といったサイゼリヤのレタスを評価する書き込みも目立った。

産経新聞では、農薬使用に関する実際の考え方をサイゼリヤ側に尋ねたが、同社側は明言を避けている。

人体への影響「確認されず」
商品のサラダへのカエル混入は、過去にもたびたび起きている。

今年5月、うどんチェーンの「丸亀製麺」(東京都渋谷区)の店舗が持ち帰り用に販売した生野菜入り「丸亀シェイクうどん」へのカエルの混入が発覚。同社は野菜の加工工場で混入したと判断し全国でシェイクうどんの販売を一時休止した。

長野県上田市の「イトーヨーカドー」店舗でも同月、サラダにカエルとみられる異物が混入し、保健所が工場に立ち入り検査を実施している。

カエルの活動期は冬眠の時期を除いた春から秋にかけて。生態に詳しい茶臼山高原両生類研究所(同県根羽村)の熊谷聖秀館長(73)は、カエルが野菜に付着する理由について「虫を食べたり、葉の隙間に入り込んで寒さをしのいだりするためだろう」と説明。

人間がアマガエルを口にした場合について「人体への大きな影響は確認されていない」とし、「農薬でしっかり消毒が施された野菜であれば、(虫を食べるために)カエルが葉に引っ付く可能性は低い」と話している。