頭の中で突然の爆発音、入眠を妨げる謎の現象とは、原因は不明

ミュージシャンでギター職人のデイブ・ロボス氏は、大きな音には慣れっこだったが、ある夜、頭の中で突然大きな爆発音がした時には少し不安を覚えたという。まさに眠りに落ちようとした瞬間のことだった。あまりに激しい音に、目が覚めてしまった。
「頭の中の頭頂部あたりで、非常に鋭い音がしました」。それと一緒に、車が衝突する映像が一瞬目の前をよぎった。「2つが同時に起こった感じでした」

ロボス氏が体験したのは、「頭内爆発音症候群(EHS)」と呼ばれる謎の多い現象で、「睡眠時随伴症」の一つだ。睡眠時随伴症には、睡眠時遊行症(夢遊病)、寝言、睡眠麻痺(金縛り)、そしてミオクローヌスと呼ばれる筋肉の瞬間的な痙攣(けいれん)などがあるが、身体への危険や痛みが伴わない限り、ほとんどの場合、害はない。

EHSの経験は、睡眠クリニックを受診した患者に詳しい睡眠検査を行う中で明らかになることが多い。「ナルコレプシーに関する質問をしていてわかることがあります」。ナルコレプシーは日中急な眠気に襲われる病気で、幻聴を伴うことがある。

「少しでも深刻な疾患が疑われれば、睡眠検査の一環として追加の検査を行い、何でもないことを確認します」

スロウィク氏と同じくシャープレス氏も、頭に関しては慎重になるに越したことはないと警告する。最悪の場合、痛みを伴うEHSは、危険度が高く死に至ることもあるくも膜下出血の兆候かもしれないのだ。

わずか一瞬の出来事であるEHSに関してまず誤解されやすいのは、そのタイミングだ。眠っているときに音で目覚めるわけではなく、睡眠に入る直前のわずかな時間に起こる。

衝突、銃声、ドアを閉める音……

ロボス氏は自動車が衝突したような音だったというが、EHS研究に参加した経験者は、それを様々な音に例えている。

爆弾の炸裂音、ドアがバタンと閉まる音、何かが壁に当たった音、銃声、花火、金属製の鍋を叩いた音、叫び声、波がはじける音、稲妻、巨大なうなり声、自動車が通り過ぎる音など、例えの幅は広いが、一つだけ共通しているのは、誰もがそれを騒音と感じていることだ。

「交響曲やはっきりした話し声ではありません。とてつもなく大きなうるさい音だと言います」と、シャープレス氏は言う。

全文ソース
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/24/031400146/

深い睡眠時の脳と脳波を描いたCGイラスト。入眠時に頭の中で大きな音が聞こえる現象のことを「頭内爆発音症候群」という。(ILLUSTRATION BY KATERYNA KON, SCIENCE PHOTO LIBRARY, GETTY IMAGES)
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