中国経済の悲惨な実態…「デカップリング」を「デリスキング」と言い換えても“世界経済からの切り離し”は止まらない


西側と中国との経済的な結びつき

中国と西側との対立関係は、こと政治分野に関していえば、先鋭化が止まらないという状態には至っていない。

政治の世界ではむしろ、中国と西側との経済的な関係について完全切り離しを目指す「デカップリング」という言葉が嫌われ、関係維持を前提としながら経済安全保障上のリスクを減らす「デリスキング」という言葉が使われているように、対立をこれ以上激化させないため、西側諸国が中国側に気を遣っているのが実際だ。

では、現実の西側と中国との経済的な結びつきはどのように動いているのだろうか?

中国の昨年(2023年)の輸出総額は、前年比で4.6%減少した3兆3800億ドルに留まった。ここから一般的にイメージされるのは、西側と中国との経済的関係が、前年と比べて4~5%程度減った、という感じだろう。

ところが西側諸国に対する中国からの輸出はこれを遥かに上回る勢いで減少している。中国の対米輸出額は13.1%の減少、対EU輸出額は10.2%の減少、対日輸出額は8.4%の減少。つまり、たった1年で1割前後の縮小となっているのだ。

このように、西側と中国との経済的関係は、想像以上に大きく落ち込んでいる。中国べったりのイメージが強いあのドイツでさえも、中国からの輸出は13.0%も落ち込んでいる。

一帯一路構想に参加していたはずのイタリアにしても、すでに昨年の段階で中国からの輸出は11.8%も減っている。イタリアは昨年12月に一帯一路からの離脱を表明しているが、こうした政府の動き以前に、民間経済は中国との関係を勝手に縮小していたということだろう。

西側主要国としては位置づけられない国々でも、中国からの輸出が大きく落ち込んでいるケースは多い。例えば中国の対台湾輸出額は16.0%の減少、対フィリピン輸出額は16.3%の減少、対カナダ輸出額は14.9%の減少、対ニュージランド輸出額は13.2%の減少、といった感じだ。

https://gendai.media/articles/-/126012