反ワクチン・反LGBT・反ウクライナがデモでごった煮に…主催者・佐藤和夫氏の節操なき人脈で“悪魔合体”(藤倉善郎)(日刊ゲンダイDIGITAL)
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【陰謀論者の大行進 春のトンデモ最前線】#6

「世界で(新型コロナウイルス)ワクチンをまだ打たせている国は日本だけ。日本殲滅大作戦が、今始まっている!」

今年1月、東京・銀座でデモ隊に交じって、池田としえ日野市議会議員がマイクでこう絶叫した。コロナワクチンは毒であり、何者かが日本を滅ぼすために日本でだけワクチン接種を推奨している、とする陰謀論だ。実際には、他国でもワクチン接種は続いており、日本だけではない。

このデモは、各国間の感染症対策の連携強化を目指す通称「パンデミック条約」と、それを推奨する世界保健機関(WHO)への抗議活動だ。デモの前には霞が関の厚労省前の歩道を埋め尽くして、街宣も行われた。そこでは参政党関係者もマイクを握った。

■実質主催者は元自衛官の保守活動家

実質主催者の佐藤和夫氏は、元自衛官の保守活動家。「英霊の名誉を守り顕彰する会」会長でもある。都内でさまざまなデモを実質主催してきた人物で、一昨年は安倍晋三元首相の国葬に賛成するデモも開催。昨年5月に開催したウクライナ支援に反対するデモで、佐藤氏はこうスピーチした。

「LGBTの(権利確立を求める)問題も、日本の文化を壊すための波。ワクチンもあります。ディープステート(影の政府)という闇の力が日本に押し寄せている。声を上げなければ日本は奴隷国家になる」

この翌月、国会でLGBT理解増進法が成立した後に、同法に反対するデモを開催。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の分派のサンクチュアリ教会(連載第3回で紹介)の信者も参加し、幸福の科学もユーチューブ用の「取材」としてデモに伴走した。Jアノン(第4回)の面々だ。神真都Q会(第5回)、人工中絶に反対してきた日本の保守系キリスト者の姿も。沿道からは「差別やめろ!」と罵声を浴びせられた。

今回の反ワクチン・反WHOデモにもLGBT法に反対するプラカードがあった。しかしそこに、LGBTの権利を擁護してきたラエリアン・ムーブメント(第1回)関係者も参加。

ラエリアンは反ワクチンと同時に改憲反対もデモで主張する。一方の佐藤氏は、2016年参院選に憲法改正を掲げる「日本のこころを大切にする党」公認で立候補しているのに、ラエリアン主催のデモでその姿が目撃されている。

佐藤氏の節操のない人脈ゆえに、主張が違いすぎる面々がデモで悪魔合体してしまっている。 (つづく)

(藤倉善郎/ジャーナリスト)