イギリス与党・保守党の空気が暗い。ここ数日でますます暗くなっている。
なぜか。
先週はリシ・スーナク英首相にとって決して良い週ではなかった。控えめに言っても。まず、ロンドンのサディク・カーン市長に関する発言が原因で保守党の党員資格を停止されていたリー・アンダーソン下院議員が、新進の右派政党「改革党」に合流した。
続いて、保守党に巨額献金をしてきたソフトウェア会社経営者、フランク・ヘスター氏によるとされる発言が問題になった。
へスター氏は、ダイアン・アボット下院議員(元労働党、現在は無所属議員)について、「彼女のせいで黒人女性をみんな憎みたくなる」と発言したとされる。へスター氏はこれについて、「無礼」な発言だったと謝罪したものの、「彼女の性別や肌の色とは無関係だ」と釈明。スーナク首相の報道官は、問題の発言について「人種差別発言で間違っている」と批判した。
全体的に保守党の下院議員たちは、ヘスター氏が昨年、保守党に寄付した1000万ポンドを返金しないでおくというスーナク首相の判断には満足なようだ。しかし、問題の発言が報道された当初、ただちに「人種差別だ」と非難しなかった首相の対応などには、多くの議員がまぎれもなく不満を抱いている。
しかし、保守党の中で潮目が明らかに変わったと思える、根本的な理由はほかにもある。ひとつは、世論調査の状態だ(3月11日の時点で、労働党の平均支持率は44%、保守党は23%だった)。世間と同じように、保守党の議員たちもその結果を目にすることができるわけで、それによると次の総選挙では保守党がただ負けるだけでなく、かなりひどい大敗へ向かっていることがうかがえる。
保守党では多くの下院議員がすでに、選挙で同党が敗れる可能性を受け入れているものの、それでも労働党との差はそろそろ縮まっているころだと期待していた。
さらに、今月初めに政府が発表した新年度予算も、支持率になんら影響を与えていないため、これについての議員たちの不満も募っている。閣僚経験者のひとりは、予算発表が「針を大きく動かす最後のチャンス」だと思っていたと話す。しかし、個人の税負担がかなり軽減されたにもかかわらず、支持率には何の変化もなかった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/51af32581261fe34ec7fea367055a52fc3636a0a