戒のある暮らし 仏教の自分貢献マニュアル 齊藤隆信著:中外日報
https://www.chugainippoh.co.jp/article/kanren/books/20240315-003.html
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仏教について何の知識もない現代人が、仏陀や祖師の教えに触れたら何を感じ、どう考えるだろうか? 誰もが初めからありがたく尊い人生の真理と受けとめるとは限らない。本書はそんな観点から、仏教とは何か、仏教が日常生活の規範とする「戒」はどういう意義を持つものかを教えてくれる。

「戒」には「してはならない」という禁止、また「しなければならない」という義務の意味合いが伴う。著者はそれをインドのシーラという原語から「行為・習慣・性質」であり、「しない」「する」という能動的な意志として理解すればよいと説く。その上で、菩薩が実践する基本的な戒である「三聚浄戒」について、摂律儀戒を「悪しき行為をしない」、摂善法戒を「善い行為を修める」、摂衆生戒を「世のため人のために尽くす」ことだと示し、摂律儀戒の内容として「十重禁戒」、摂善法戒の善行として「布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧」を解説。最後に摂衆生戒の生き方として利他行を挙げ「四無量心」「四摂法」の実践を説明している。

「持戒」の意義は安穏な暮らしを守ることにある。破戒と背中合わせなのは「人の心の脆さ」故。だが「三日坊主」を嘆かなくても大丈夫。気付いたらまたやり直せばいい、と著者は優しく背中を押してくれる。

定価2200円、法藏館(電話075・343・0458)刊。