大谷翔平スキャンダルで注目。スポーツベッティングはなぜ日本で解禁されないのか?

3/27(水) 2:27

英国のブックメーカーは、ネット社会の進展に伴って、巨額のマネーを稼ぐようになった。
日本に限らず、世界中からの賭け金が集まってくるからだ。各国はこれを見過ごすわけにはいかない。 

欧州各国は2000年代に入ると、ブックメーカーによるオンラインベッティングを
次々に解禁するようになった。2006年イタリア、2010年フランス、2012年ドイツと順次解禁されていった。
これらの国々は、自国のサッカーリーグの試合が賭けの対象とされ、その賭け金が英国に流れてしまうのだから、当然だろう。

アメリカも2018年から、各州で次々と解禁された。それまでは、連邦法
「プロフェッショナルおよびアマチュアスポーツ保護法」(PASPA:Professional and Amateur Sports Protection Act of 1992)で、
ラスベガスがあるネバダ州を除き違法とされてきたが、ニュージャージー州が提訴して最高裁が違憲判断を下したため、
これを機に現在まで全米38州で解禁されている。


■成長を続ける米スポーツベッティング業界

数あるアメリカのブックメーカーのなかで、特筆すべきは、「ドラフト・キングス」(DraftKings)である。
2012年にボストンで設立されたスタートアップだが、オンラインカジノやスポーツベッティングはもとより、
ヴァーチャルスポーツ市場においては、シェアをほぼ独占している。株価も上がり続けいて、ベットするより株を買ったほうがいいと言われている。

“名通訳”“親友”から一転して“嘘つき”となった水原一平氏は、エンジェルス時代、
このドラフト・キングスにハマっていた。また、彼がインタビューに応じたディズニー傘下のメディア
「ESPN」もスポーツベッティングの「ESPN BET」を持っている。

アメリカゲーミング協会(AGA:American Gaming Association)のレポートによると、
カジノやオンラインベッティングを含むアメリカの商業ゲーミング業界の総収益は、2022年、
史上初めて600億ドル(約9兆円)の大台を突破した。毎年、20%〜30%という高成長率で伸びている。

■教育界、スポーツ界からの根強い反対

欧米がこのような状況なのに、日本ではいっこうにスポーツベッティングを解禁する気配がない。
それは、カジノ解禁を見てもわかるように、日本人がギャンブルに対する忌避感が強いからだろう

しかし、スポーツベッティングにより、放映権料や広告収入は拡大する。
スポーツそのもののも活性化する。さらに、国や自治体に大幅な税収増をもたらす。

こうした見地から、スポーツベッティングの売り上げの一部を、地域のスポーツ、
とくに子どもたちのスポーツ活動に使えばという意見が出ている。これは、学校の部活を地域移行させるという、いまのトレンドに合致する。

しかし、教育界からは、「子どもの部活を理由にスポーツ賭博の合法化を進めるなどとんでもない」という反対の声が根強い。
また、プロ野球界、サッカー界も強く反対している。

スポーツ庁も「(部活の)地域移行の経費をベッティングで賄うことは考えていない」という声明を出している。


https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/8480db797948cdbf86b64dce64d0aed1d1005509