能登半島地震の発生からまもなく3カ月を迎える中、被災地で活動したボランティアは延べ約1万人余りに過ぎない。平成28年の熊本地震では3カ月で延べ約10万人が活動しており、経験豊富なボランティアからは「能登は静かすぎる」との声も

「ボランティア元年」と呼ばれた平成7年の阪神大震災は、発生1カ月で延べ約62万人、1年間では約137万人が活動。23年の東日本大震災は、センターを通じた活動に限っても発生50日で延べ約23万人、1年間では約102万人に達した。熊本地震も1カ月で約6万人、半年間で約11万人だった。

東日本大震災の被災地などでボランティアの経験があり、現在は輪島市内で活動する男性(56)は「多くの人ががれきを片付けていた東北とは違い、(能登半島は)静かすぎる被災地。こんなことは初めてだ」と打ち明ける。

自粛が自粛呼ぶ?

能登地震でのボランティア不足の大きな要因とされるのが、「半島」ならではの地理的要因や道路の寸断による復旧遅れだ。発生当初は被災地で大渋滞が起こり、石川県や国は単独行動のボランティアも含め、「被災地への不要不急の出入りは控えて」と自粛を呼びかけた。交流サイト(SNS)でも、ボランティアに向かう著名人らに批判の声が上がった。

こうした影響から「ボランティア自粛の声が広まったのでは」と指摘するのは、石川県災害危機管理アドバイザーの経験もある神戸大の室崎益輝(よしてる)名誉教授。ボランティア不足でがれき撤去などが進まず、生活再建のめどが立たない状況が続けば「避難先から戻る人が減り、人口流出につながる恐れがある」とし、「一人でも多くのボランティアが行けるように考えるべきだ」と訴える。https://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/sankei-_affairs_disaster_USLQRURA4RNZRJYJ4CUGDH2ICU.html