斎藤経産相、次世代半導体ラピダスに最大5900億円を追加支援

https://news.yahoo.co.jp/articles/87664d9b32475436e55f598638dc38ba25bd07e8

(ブルームバーグ): 斎藤健経済産業相は2日の閣議後会見で、次世代半導体の量産を目指すラピダスに最大5900億円を追加支援する方針を明らかにした。今回の支援が成立すれば、同社に対する支援は累計1兆円近くに上ることになる。

斎藤経産相は支援の理由について、ラピダスが取り組む次世代半導体は「生成人工知能(AI)や自動運転など日本経済の全体の鍵をにぎる」技術だと述べた。また近年は半導体製造における後工程の重要性が増しており、ラピダスが先端的な後工程の開発を手掛ける点も支援を決めた理由の一つとした。

22年設立のラピダスは、27年に2ナノメートル(ナノは10億分の1)ロジック半導体の量産を目指す。日本政府も半導体の安定供給確保を経済安全保障上の重要課題に掲げて国内での生産体制強化を支援しており、特にラピダスは半導体産業の復活に向けて遅れを挽回する「ラストチャンス」と岸田文雄首相も言及した一大プロジェクトだ。

日本政府はラピダスに対し、昨年度までに累計3300億円の支援を決めるなど強力な支援を続ける。同社は昨年9月から北海道千歳市で半導体工場を建設中だが、同工場には5兆円規模の投資が必要と見込まれており、今後も政府による支援が継続する可能性がある。

追加支援は23年度の補正予算で確保していた基金から拠出する。内訳は前工程が最大5365億円で、後工程は同535億円。用途としては、パイロットラインへの設備導入や米IBMへの技術者派遣による2ナノメートル製造技術の高度化、先端パッケージング技術の開発などを想定する。

ラピダスの小池淳義社長は同日午後に都内で会見し、量産に向けた準備は今のところ順調に進んでいると強調。追加支援で「パイロットライン実現に向けて大きく進めること」ができると述べた。また競合の2倍以上のスピードで製造できるようにすると意気込んだ。