(ブルームバーグ): ロシアの攻撃を撃退するため、ウクライナは弾薬を必要としている。その必要量を確保するという闘いに、同国とその支援国は敗れつつある。

最新の前線状況に詳しいウクライナ支援国の当局者によると、ウクライナへの西側の軍事支援は劇的に減少し、縮小する在庫を維持するためウクライナ側には1日一発しか撃てない部隊もあるという。

支援国の一部はウクライナへの兵器供給の流れを維持しようと、世界各地から弾薬を調達しようと躍起だ。だが、この動き出しは遅く、ウクライナの前線安定維持に短期的に十分な成果を生めるかは定かではない。

エストニアのカラス首相は「われわれに無駄にできる時間はない」とブルームバーグに対して電子メールで言明。「長期的なコミットメントは重要だが、多くの弾薬を保有している側が勝つというのも戦争の事実だ」と続けた。

匿名を条件に語った複数の当局者によると、ロシアが今年夏に攻勢をかけウクライナの防衛線を突破する可能性への懸念が支援国の間で強まっている。

ロシア軍が使用する弾薬の量は、現時点でウクライナ軍の7倍だと当局者らは指摘。ウクライナは1月下旬、発射できる弾薬数が3対1で劣勢に立たされていると支援国に警告したが、当時に比べてこの格差は2倍余りに拡大した。

弾薬供給の遅れによる代償は西側指導者の間でますます認識されるようになっているが、それでも不足は解消していない。支援協議に詳しい当局者によると、ロシアがウクライナで大幅な前進を遂げる場合、北大西洋条約機構(NATO)領内の防衛費用はいっそう高くなることも、首脳らは理解している。

欧州連合(EU)の資金を外国からの兵器購入に充てることが容認可能か否かで数カ月にわたりもめていた欧州が、弾薬を広く探し回るようになったのはそのためだ。チェコ共和国がこのイニシアチブを主導し、エストニアも同様の取り組みを準備している。

ウクライナにとっては今週初め、米議会で滞っている600億ドル(約9兆1000億円)余りの軍事支援がようやく前進するかもしれない良い兆しが見られた。ジョンソン下院議長が支援を「すぐにでも」承認したいとの意向を示した。ただ、共和党下院指導部の中にはまだ反対もあり、支援法案が下院を通過する確率はせいぜい50%だ。

ウクライナの弾薬不足とロシア軍の進軍リスクは、NATO発足75周年を記念して加盟国外相がブリュッセルに集まる場で議論される公算が大きい。

ウクライナのゼレンスキー大統領は3月28日に米紙ワシントン・ポストに対し、何らかの支援がなければ同国軍は後退を余儀なくされると警告。そうなれば、占領地を拡大させたロシアが主要都市を狙う可能性もあると訴えた。

4/3(水) 21:11配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e45900d4741fcdb596831d6d0f7a7cbc1f944869