星乃莉子、AV新法見直し検討シンポで訴え「被害者だと決め付けられ、尊厳を害されている」

2022年(令4)6月に施行されたAV出演被害防止・救済法(AV新法)の見直しを検討する2回目のシンポジウムが4日、都内で開かれた。

AV新法は、AVの出演被害を防ぐ法律として議員立法により制定。女優として出演した女性を守る法律として施行された一方で

<1>AV撮影については、契約の書面交付から1カ月の撮影は禁止

<2>全ての撮影終了から4カ月は公表を禁止、公表の前には出演者へ事前確認を義務づける

<3>制作公表後1年間、出演者は無条件で契約解除が可能

などの規定が、制作の実情に合わず、制作本数が減少。そのため、自らの意志で業界に入り、AV出演で生業を立てていながら、引退を余儀なくされる女優も出てきており、制作会社や制作者、女優らの間から実情に合わないといった声が出ている。

第2回シンポジウムには、女優の星乃莉子も参加し、当事者としての主張を展開した。まず「1カ月−4カ月ルールの問題は、内容が発表できず、商売そのもの自由がないとデビューして感じた」と訴えた。その上で「私たちを全く知らない人から、職業の決めつけで制限される。真剣に取り組んでいる人たちでさえ、被害者だと決めつけてしまうところに、悲しいというか尊厳を害されている感じがする」と、AV新法により、AVに出演していることで被害者だと決めつけられていると訴えた。

さらに「生活に関わり、人生を左右する…女性1人の人生、尊厳を左右する。(それを)たった3カ月(の審議)で決めるのではなく、当事者の意見を聞いてほしい。私の表現の仕方、自由が奪われる。自分の人生を考えるきっかけになった。国会の方々に自分たちの小さい声が届くことを願っています」と訴えた。

この日は、日本維新の会の堀場幸子衆院議員、NHKから国民を守る党の浜田聡参院議員、国民民主党の樽井良和氏が出席し、立憲民主党の川田龍平参院議員もリモートで参加した。川田氏は「当初の規制から、法規制が大きくなったと感じます。業界の皆さんの意見を聞く時間がなかった、拙速に決めたところがあると思う。この2年…どうなのか検証すべき。表現規制の問題、人権の問題を含め、しっかりと検証した上で見直しをする方向性を話し合っていければ」と施行されて2年のAV新法の、検証の必要性を口にした。

堀場氏は「法律があって(女性を)守ることができれば良いという1つの論点があった。労働として、女性が選択肢として持っておくべきだと考えている。非常に困っている人がいることもしっかり理解し、改正も頑張らせていただきたい」と語った。一方で「女性で、こういう声を出す議員が少ないのも寂しい」とも語った。

パネリストを務めた経産省出身の制度アナリスト宇佐美典也氏は、複数の議員が22年4月1日にAV出演強要問題に対する新法の制定を岸田文雄首相らに緊急要請した立憲民主党が、AV新法施行に主導的な立場を取っているとみられているが、業界の実態に沿わない法律になったのは自.民党、公.明党の政権与党だと訴えた。

宇佐美氏は、立憲民主党は18、19歳のAV出演の、取り消し権の部分に主眼を置いており、AV業界の考え方にも近いものだったと指摘。一方で、自.民党、公.明党は同4月13日に、成人年齢引き下げの枠を超えて全年齢を対象とする議員立法による措置の可能性を示唆しており、そのことが大きな問題となったと指摘した上で「立憲民主党をスケープゴートにしている。自公に向き合ってほしい」と訴えた。

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