同人誌を刷って13万円の赤字を出した話

私は初めての大規模二次創作界隈で「200pフルカラーの評論本(数千円)」という訳の分からない本を出そうとしていた。
作品の世界観の考察本ならまだ需要がわかる。

しかし私の本は「作品の情報提示の検証と文脈の読解、界隈の解釈・読者の情報認知について」という内容だ。

友達やフォロワーには「コミケの評論島で出すやつ」「文学フリマで出すやつ」「二次創作と相性悪すぎ」
「二次創作の隣で読解認知の自己啓発本が頒布される図は想像しただけで面白すぎ」などと数々のツッコミを受けた。
ただでさえ私のジャンルアカウントは(当時)フォロワー100人未満の弱小垢だ。「10部刷って2部捌ける感じだと思うわ。
でも1部も出なかったら流石に心折れるな(笑)」そんな冗談をこぼして笑った。
(略)
事態は急変した。翌日目が覚めると、Twitterの通知欄がなんかすごいことになっていた。
告知は100RT以上され、大量のいいねとブックマークが付いていた。そして購入希望アンケートは100票を超えていた。

どうやらフォロワー万単位の界隈アカウント複数名にRTされたようだった。

RT先では「これぞ同人誌!」「こんな同人誌の在り方があったか!」などの好意的な反応があった。
どマイナー考察勢として生きてきた私は自分の作った同人誌がこのような形で日の目を浴びる姿に喜び明け暮れた。

しかし拡散されたことで新たな問題が発生した。何度も言うが私が刷る本は200pフルカラー本だ。
印刷代の単価は最低でも千円単位である。多少のフェイクを入れて分かりやすく説明する。
もし100部を刷った場合、印刷代は20万円だ。

に、に、に、20万円!?!?初めて一人暮らしをした時の敷金礼金、迷った挙句に断念した
全身脱毛10回コースの記憶が走馬灯のように駆け巡った。
だがそれ以上駆け巡る記憶はなかった。数十万円単位の取引なんて人生でそれくらいしかない。
(略)

私はイベント開催日の夜、通販URLを記載した通販開始の告知を出した。
……。…。………。
伸びない。
身内のRTと少しの数の注文だけが入った。
……えっ?
翌日になってもRTも注文も全く伸びなかった。
購入希望アンケ付き告知は100RT以上されたのに、通販開始告知は10RTもされていない。

通販の注文数は、アンケートの購入希望票の2割だった。
えっ……えっ……?

何が起きているのか分からなかった。えっ、あの、これ赤字が十数万円を超えるんだけど…えっ?全身が熱くなり嫌な汗が吹き出す感覚がした。
https://note.com/swim_think/n/n17f1598b58e3