東芝の不正会計問題をめぐり、株主が旧経営陣と監査法人の責任を問うた株主代表訴訟で、「原告が訴訟を起こす資格を失った」として、訴えを却下する判決が続いた。東芝が買収され、上場を廃止する過程で実施された「株式併合」で、原告が保有する株が「1未満」になったためだ。株主側は「法の不備だ」として法改正を訴える。

 2015年に発覚した不正会計問題で、株主は16年、旧経営陣と監査法人に対し、生じた損害を東芝に賠償するよう求める株代訴訟を起こした。

 旧経営陣10人に対する株代訴訟では、一審・東京地裁が23年3月、2人に億単位の賠償を命じた。

 一方、経営の混乱が続いた東芝は、国内投資ファンドの日本産業パートナーズ(JIP)からの買収提案を受け入れた。同年11月の臨時株主総会で、JIPが全株式を強制的に買い取るのに必要な「株式併合」の実施を決定。9300万株あった株式は1株に併合された。

 控訴審となった東京高裁の今年3月6日の判決は、1株以上の保有者という株代訴訟の提訴要件を満たさなくなり、「原告適格がなくなった」と判断。一審を取り消し、内容は何も判断せずに訴えを却下した。

 東京地裁で審理が続いていた監査法人への訴訟も今年3月28日、同様の理由で却下された。

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