――なぜ健常者の社員が障害者と接触すると、全体の業績が上がるのですか。

健常者の生産性が上がるからだ。例えば、知的障害の人に指示書を渡しても、複雑な内容は理解できない。簡潔に教えたり、書き直したりする必要が生じる。作業工程もわかりやすいように組み直す。すると、誰に対しても優しく、働きやすい環境が完成する。健常者のミスも減り、業務が効率化していく。

さらに人間関係も良くなる。職場に障害者が入ると、元からいた社員は「自分は健常者だ」と意識するようになる。つまり、共通性が生まれる。

次に倫理観が高まる。何かサポートできないか、と各々が考えるからだ。障害者の中には、複数の指示を受けるとパニックに陥る人もいる。健常者同士で相談し、誰が何を伝えるべきか、内容を整理するようになる。

協力体制が構築され、自然とコミュニケーションが活性化する。結果的に相互理解が深まり、健常者の間でも配慮し合うようになる。1人1人の心理的安全性が高まり、業務パフォーマンスの改善につながるのだ。こうした効果は統計的な裏付けも取れている。

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