【ナイロビ=共同】「世界の家庭は1日当たり10億食超を無駄にしている」。国連環境計画(UNEP、本部ケニア・ナイロビ)が3月に公表した報告書で2022年の食品廃棄量の推計を示した。日本では1日約4800万食相当の食品が捨てられたとみられ、UNEPは「多くの人が飢餓に直面する中で起きている世界的な悲劇だ」と警告している。

各国の統計や学術論文を分析した推定では、22年に世界の家庭から出た食品廃棄物は6億3100万トンで、1人当たり79キロだった。報告書作成に携わった英国の環境非政府組織(NGO)が各国の一般的な食事から算出した1食の平均量420グラムを基に、失われた食事数を計算した。

堆肥や飼料として再利用する農村部に比べて廃棄が多い都市部での対策が課題だとして、フードバンクなどの取り組みを進める必要があると強調した。高所得国と中所得国で廃棄量に大きな差はなかったという。

日本については家庭の廃棄が08年から19年にかけて約30%減少したといい、「長年の削減活動の成果が出ている」と評価。一方で、依然として年約740万トンが無駄になっているとも言及した。

21年に発表した最初の報告書の2倍近い93カ国で得たデータを解析しており、「廃棄は環境負荷が高く、各国が優先度を上げて対応すれば解決できる問題だ」と訴えている。


https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE12DLA0S4A410C2000000/