英国を本拠とする220億ポンド(約4兆2000億円)規模の資産運用会社ラッファーは、米国の流動性縮小が市場の急激な反転のリスクを高めるとの見方から、現金への資金配分を過去最大としている。

  ファンドマネジャーのマット・スミス氏によれば、同社資金の3分の2は現在、現金同等資産で運用されており、これは過去最高の比率だという。運用益はクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)や米国株オプションといった形で、資産価格の暴落で利益の出る投資に充てられている。

  「米連邦準備制度に絡む流動性の影響が出てくる3カ月以内かもしれない。この巨大なボラティリティー売りのエコシステム(生態系)は、反射的に反対方向に向かう可能性がある」とスミス氏は話す。

  ラッファーの一任運用は、単に業界のベンチマークに投資するのではなく、一つか二つの集中的な取引に資金を集めることができることを意味する。

  その中で、2020年にビットコインに賭けたのは成功だったが、23年は世界の株式と債券が共に値上がりしたため、同社の「トータル・リターン・ファンド」は6%余りの損失を被った。

  米国の利下げに対する過度な楽観論は、市場を完璧に近い状態に置き、米連邦準備制度が債券買い入れプログラムの縮小を続ける中、1987年の「ブラックマンデー」のような流動性リスクをあおっているとスミス氏は言う。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-15/SBTLYOT0AFB400