増えるタッチパネルに困ってます 視覚障害者には何も伝わらず 「世の中は便利になるけど」増す生きづらさ
セルフレジや飲食店の注文などの場面で、タッチパネルの普及が進む。目の見えない人には凹凸のないパネルはどこを押していいのか分からない。人件費削減や人手不足解消に役立つデジタル化の推進が、視覚障害者の暮らしに新たな壁をつくっている。

◆助けを呼べばできるけど、そうじゃない
「店員や駅員を呼べば良いと言われればそうだけど…」。東京都の荒川区視力障害者福祉協会の長島清会長(62)は、これまでできていたことができなくなり「自立を阻まれている」と感じている。
荒川区町屋の職場近くのスーパーでは、支払い方法をタッチパネルで選ばなければいけない。全盲の長島さんは店員に操作してもらっている。カードの暗証番号は知られたくないので、スマートフォンのバーコード決済を使う。混雑時は店員に申し訳ないと、買い物には行かないようにしている。
銀行のATMは、一部の操作がタッチパネルでないとできない。行員に暗証番号を口頭で伝えて入力してもらう必要がある。視覚障害のある仲間も、マイナ保険証の利用時にタッチパネルで暗証番号の入力を求められ困っている。「信用はしているが、個人情報が守られているだろうかという不安は消えない」

https://www.tokyo-np.co.jp/article/321120