研究チームが充放電を繰り返したリチウムイオン電池を分析したところ、定電流で充電されたバッテリーでは、電流が流れ込む電極であるアノードの表面に形成される
固体電解質界面(SEI)という膜が大幅に分厚くなっており、これによりバッテリーが保持できる充電量が制限されていました。

また、NMC532とグラファイトでできた電極にも無数の亀裂が走っており、これも容量減少の要因となっていました。
対照的に、パルス電流で充電したバッテリーはSEIが薄く、電極へのダメージも低く抑えられていました。

以下は、電極(Graphite)の表面を顕微鏡で拡大した写真で、左から順番に新品(Fresh)、定電流(CC)、2000Hzパルス電流(Pulse-2000)のものです。
定電流で充電した電極(中央)には約110nmの膜がついていましたが、パルス電流(右)ではこれが半分の約50nmに抑えられていました。
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研究チームは、2024年3月14日付けの学術誌・Advanced Materials Sciencesに掲載した論文に「これらの発見は、現行のリチウムイオン電池の充電方式を最適化させて耐用年数を延ばし、
さらに将来のバッテリー技術を発展させる洞察ももたらします」と記しました。