坂本龍一『COMICA』

サカモト流アンビエント・ミュージック、あるいは都市生活者のサウンドトラックとでもいうべき内容。

 「dawn」「day」「sunset」「night」というタイトルからも分かるように、最初の4曲は組曲的な繋がりを持つものになっていて、控え目な電子音のうえに素描的なピアノがポツリポツリと紡がれてゆく。

 この文章を書いている最中に部屋で流していてもまったく邪魔にならないどころか、意識しなければ音楽の存在さえも忘れてしまいそうな、まさに「アンビエント」な音楽でありながら、雲のような音の塊が後半になるにつれて徐々に高まりをみせていくところなど、能動的な鑑賞にも耐えうるクオリティとなっていることは(当たり前だが)さすがと言うしかない。
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