灘中→灘高→東大理Ⅲ…超エリートコースを歩んだ男が“医師とピアニストの二刀流”を続ける理由

 2024年3月24日、Hakuju Hall(東京都渋谷区)に老若男女が集った。ひとりのピアニストの演奏を聴くためだ。高い天井を備えたホールはキャパシティ300名程度で、決して大きくはない。だが統一感のあるデザインが品の良さを際立たせている。
 クラシックからポップスまでを弾き分け、MCでは随所で笑いを取る。しかしその笑いは計算し尽くされたものではなく、人柄がにじみ出るおかしみからくるものだ。

 浅野涼――ピアニストにして、医師。

 長江杯国際音楽コンクール第1位、ショパン国際ピアノコンクール in Asia 全国大会銀賞、エレーナ・リヒテル国際ピアノコンクール第3位など、錚々たる賞歴がある浅野氏は、ウィーン国立音楽大学においてトーマス・クロイツベルガーのマスタークラスを学費全額免除で修了するなど目覚ましい活躍が注目される。一方で、日頃はあかり在宅クリニックの医師として在宅医療に従事し、高齢者などを中心にケアしている。

 業務外においては、通所型介護施設(デイサービス)やこども食堂などで演奏活動を行っている。浅野氏に半生を取材し、「慈善活動」の一言でくくれない、活動の源泉を描く。
 
https://news.yahoo.co.jp/articles/575afc88a1b6bf97d40a8827af417b471ff24845