また懲りずに血税5兆円を…!? 国策「日の丸ジェット」の見果てぬ夢に「エリート官僚」たちが固執する「大ひんしゅくの理由」
4/23(火) 6:05配信


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現代ビジネス
次の投入額は「ケタ違いになる」
写真提供: 現代ビジネス

 「YS-11以来、約40年ぶりの日の丸旅客機」との経済産業省の甘言に乗せられた三菱重工業が約1兆円の資金を溶かした末、ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を断念してからわずか1年余。国の出資金500億円を棄損させた経産省が性懲りもなく「日の丸ジェット機」開発の国策プロジェクトに再び動き出し、霞が関や市場でひんしゅくを買っている。

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 伊吹英明局長(1991年旧通商産業省)率いる製造産業局が公表した新たな「航空機産業戦略」は、旧MRJ失敗の原因を「1社単独開発による限界」や「政府の支援不足」などと勝手に総括。「貴重な教訓」(同局幹部)を学んだ三菱重工に加え、川崎重工業やIHIなど航空宇宙メーカー、水素エンジンを開発する自動車メーカーなど日本の技術力を結集し、今後10年間で官民併せて5兆円を投資して、脱炭素時代に適合した次世代航空機を2035年ごろをめどに開発するとぶち上げた。

 「日の丸航空機」の開発・供給体制の構築については、産業のすそ野が広く、経済成長に資する新たな基幹産業と期待できる上、戦闘機開発など防衛産業の競争力強化にも通じる「安全保障上も極めて重要なプロジェクト」などと喧伝。伊吹局長周辺筋は「要素技術の研究開発支援にとどまった、旧MRJのようなチンケな国費投入はもうしない。今回は機体やエンジンの開発から整備手続きの確立、商用飛行に不可欠な『型式証明』の取得まで国が丸抱えで支援する。投入額は桁違いになる」と嘯く。

 数千億円から1兆円レベルの支援を想定しているようで、その元手は脱炭素化推進のために政府が発行する「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」総額20兆円を当て込んでいるという。本来、電源の脱炭素化や省エネ技術推進などに使うはずのGX債を、産業政策にも“流用”する腹積もりなのだろう。

「クールジャパン」の二の舞いか
 ちなみに、伊吹局長は自民党重鎮だった伊吹文明元衆院議長の長男。商務情報政策局クリエイティブ産業課長(現クールジャパン政策課長)時代に、日本文化を世界に知らしめるとして官民ファンド「クールジャパン機構」を企画立案した人物だ。

 その後、同機構は手掛けた事業がことごとく上手く行かず、赤字垂れ流し状態となり、有力OBから「毛並みは抜群だが、政策の詰めが甘いボンボン」などと後ろ指をさされた過去を持つ。だが、血税が毀損されても本人は馬耳東風の体で局長に出世。そんな人物が差配するのだから、「MRJ2・0」構想がいかに危ういか想像が付こうというものだ。

 実際、クールジャパンと同様に日の丸航空機開発への再チャレンジも成算があるわけではない。2008年に始まった旧MRJが、開発に約15年もかけながら事業断念に追い込まれた最大の要因は、欧米当局から型式証明を取得できなかったからだ。これをクリアするノウハウは未だに日本の官民にはない。

 伊吹局長らは米ボーイングなど欧米の航空機メーカーの協力を仰ぐ方針だが、完成機市場で競争を挑もうとする敵(日本勢)に塩を送るようなことを果たしてするだろうか。実際、三菱重工は旧MRJの型式証明取得で、部品納入先として親密だった米ボーイングに助力を頼んだが、「十分な協力が得られなかった」(元役員)という。

https://news.yahoo.co.jp/articles/c3825eff521521382758878d3fae8d01cc7f4ae4