それは守勢に徹する株式投資家にとって、あたかもスラムダンクシュートのように確実性の高いトレードに聞こえる。 下落なしで株式市場に投資できる上場投資信託(ETF)が宣伝文句だ。
カラモス・インベストメンツは22日、S&P500種株価指数とナスダック100指数、ラッセル2000指数のリターンの一部に連動する「ストラクチャードプロテクション」ETFの上場申請を行った。届け出によれば、オプション市場を通じて下落を100%ヘッジする。
「カラモスS&P500ストラクチャード・オルト・プロテクションETF」は、プラス9.65%までを上限に「SPDR S&P500ETFトラスト」(ティッカーSPY)と同等の価格リターンを目指す。
フルプロテクションを得たい投資家はローンチされる2024年5月1日に購入し、何が起きても25年4月30日まで保有する必要がある。その後、新たなカバー期間が設定される。
目論見書によると、CPSMは予定される他のETFラインアップと同様、市場のボラティリティーに備える形でコールオプションとプットオプションを組み合わせて売買し、デリバティブ(金融派生商品)に資産を投資する。だが規制・監督当局への届け出では、求められるダウンサイドプロテクション提供に成功する保証はないとしている。
カラモスのETF責任者マット・カウフマン氏は「リスクフリーレートが5%を上回る現状で、オプションベース商品の発行主体は、100%のキャピタルプロテクションについて有意なアップサイドパーティシペーションを実現できる」と説明した。
投資家が金利ボラティリティーの高まりに対処せざるを得ない状況で、株式へのエクスポージャーとダウンサイドプロテクションを同時にオファーするETFの需要が試されている。2年のアウトカム期間に100%のダウンサイドプロテクションを提供する「イノベーター・エクイティー・ディファインド・プロテクションETF」(ティッカーTJUL)は、昨年7月のローンチ以降、資産残高が2億3000万ドル(約356億円)に増えた。
世界最大のETF発行主体である米ブラックロックも、ダウンサイドのフルプロテクションをオファーするETFの上場を米証券取引委員会(SEC)に申請した。
「年齢を重ね、退職が近い人々にとって、相場の著しいドローダウン(水位低下)は受け入れ難いが、市場に参加しないわけにもいかない。だからこそ、この商品は彼らに機会を与える」とカウフマン氏は指摘した。
原題:New Stock ETFs Are Coming That Offer ‘100%’ Downside Protection(抜粋)
(同種のETFに関する情報などを追加して更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-04-23/SCDDCYT0G1KW00