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ベネッセ、中国銀行を凌駕!創業100年超の中小企業が「岡山で就職人気1位」になれた理由

顧客に共感してもらうためには
抱える課題が共通している必要がある
 単にデジタルツールや機器を導入するだけではなく、「働き方改革」やDXの前段階のロードマップ作りから一緒に行い、社内に定着させていくデジタル支援も行っていくのが、ワークスマイルラボ。「自分たちもこれがやりたい」をまさに実現させていくのである。

 せっかくツールを購入したのに、「自分たちもこれがやりたい」ができないのであれば、残念な印象になってしまうが、そうはならない。しかも、自分たちがやって良かったものを提案してくれるだけに、「自分たちもやって良かった」と共感され、ファンになってもらえることも多い。実際、「ワクスマのファンだ」という声を発している顧客も少なくない。

 こうした共感を生み出している理由としてもう一つ挙げられるのは、ワークスマイルラボがワークスタイルやコンテンツを選定する基準を「従業員50人以下の規模の中小企業に適しているか」としていることだ。

 ワークスマイルラボがターゲットとして据えているのは、あくまで50人以下の企業。だからこそ、新しい働き方やDXを提案する上で、共感を得ることができるのだ。顧客に「自分たちにもできるかも」と思ってもらうためには、課題が共通していないといけない。

 組織的な問題を考えると、50名以下の企業では、IT専任担当者はまずいない。ワークスマイルラボも同様で、かけられるコストや人的リソースも限られている。こうした中で、独自のワークスタイルやコンテンツを生み出していくからこそ、50名以下の企業に支持されるのだ。

 この共感の重要性に気づいているため、企業成長しても、分社化して50名までの規模に抑え、共感を持ってもらえる規模を継続していこうと考えている。

岡山県の就職人気ランキング1位
経験の浅い社員も対応できる環境
 中小企業のビジネスモデルの大きな転換では、ネックになることが多いのが、既存社員からの反対や抵抗の声である。慣れ親しんだやり方を変え、新しいやり方にしていくには、大きな負荷がかかる。変わらない理由、変えない言い訳は、いくらでも挙げられる。中には、古株社員たちがビジネスモデル変革の足を引っ張ってしまうこともある。

 しかしワークスマイルラボは、社長自身がビジネスモデルを変えると決断し、それが揺らぐことはなかった。そして実現できた理由の一つとして挙げられるのが、新卒採用の成功である。
 新卒採用に力を入れ、16年から毎年、継続して採用を行うことができた。今、働いている社員が辞めてしまうと会社が立ちゆかない、ということになってしまえば、改革の決断も鈍ってしまうが、新卒採用ができていたので、こうした事態に陥らなかった。

 新卒採用の比率が全体の3分の1を超えたあたりから会社は劇的に変わることが多いが、ワークスマイルラボも、まさにその通りとなった。

 これには、新卒採用への社長の徹底的なこだわりも大きい。中小企業は大企業のような採用方法も、内定辞退を見越した多めの採用もできない。そこで、内定辞退をされない採用、ワークスマイルラボを第一志望にしてくれる学生を増やすことに傾注したのである。

 知名度でも商品力でも圧倒的な一番と言えるものがないとわかっていた石井社長は、経営理念とビジョンを打ち出し、それらへの共感を一義に採用を心掛けた。

 働き方改革という言葉が時流になったこともあり、働き方改革をお手伝いしていくという事業内容は、学生からも大きな共感を集めることになった。こうして、採用力が大きく上がっていった。

 また、採用活動には全社員が学生と接点を持つ「全員採用」も学生から高い支持を得ている。

 岡山県の就職人気ランキングでは、ベネッセや両備グループ、中国銀行などに混じって上位にランキングされるようになり、山陽新聞の調査で22年にはとうとう人気ランキングで1位を獲得。採用数も6人となった。今やエントリーからの競争率は19倍を超える。

 経営理念やビジョンに共感した新卒社員が増えていったことは、既存社員への経営理念やビジョンの浸透にもつながっていった。これが、会社自体を変えていく大きな要素となった
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