ガザ3万人犠牲でも「仕方がない」? イスラエルの洗脳教育は〝成功〟なのか 日本在住40年、非戦論のイスラエル人が同胞の思考回路を分析した(47NEWS)
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イスラエル軍とパレスチナのイスラム組織ハマスの戦闘が昨年10月7日に始まってから半年がたった。発端となったハマスのイスラエル奇襲では約1200人が死亡、二百数十人が人質として拉致された。対するイスラエル軍の報復攻撃によるパレスチナ自治区ガザ側の死者は増え続け、既に3万3千人を突破した。当初はイスラエルに同情的だった国際世論は一転し、批判が強まっている。やり過ぎではないのか。イスラエル人はどう考えているのか。日本に40年近く住むイスラエル人のダニー・ネフセタイさん(67)=埼玉県皆野町=に聞いた。(共同通信元エルサレム支局長 山口弦二)

「徴兵制のイスラエルで戦争が始まると、どんなにリベラルな人でもとにかく軍を応援しようとなる」。日本人女性と結婚し、日本に移住したネフセタイさんは「教育によって国民性をつくるのは簡単なこと。洗脳教育のやり方だ」と語る。

イスラエル中部のリベラルな家庭に生まれたが、18歳から3年間、徴兵のため空軍に入隊することに疑問はなかった。小学校に入ると毎年、ナチス・ドイツによるユダヤ人大量虐殺(ホロコースト)について学び「国を守るのは当然のことだと教え込まれた」からだ。

ユダヤ人は1948年、パレスチナの地にイスラエルを建国した。土地を追われた約70万人のアラブ人は各地に離散し、パレスチナ難民と呼ばれるようになった。アラブ人の間では「ナクバ(大惨事)」と呼ばれるが、イスラエルの学校では「ナクバは教えない。『アラブ人はイスラエル軍を恐れて逃げただけ。私たちが追い出したんじゃない』と教わった」。反対に「とにかくユダヤ人は欧州で大変だった。この国をちゃんと守らないと、またホロコーストが起きる」という教育に終始すると話す。

イスラエルにはナクバについて書かれた本もあるが、あえて読む人は非常に少ないという。「自分の国が加害者だったと認めたくないから、わざわざ調べようとはしない。日本で言えば、従軍慰安婦問題や南京虐殺と似ている」と話す。「自分の国の非を認めるのは大変なこと。今回のガザ戦闘みたいなことをやっても、それでも自分の国が悪いとは認めたくない」

今回の戦闘ではガザ側の死者は3万人を超えたが、大半のイスラエル人は疑問を抱かない。

「『3万人殺されたのはイスラエルが悪いからでなく、ガザ住民がハマスを選んだから』というのが政府のプロパガンダだ」。死者数が増えれば増えるほど「ほら、ここまでやられたよ。あなたたちがハマスを選んだから、こんなに殺されたんだよ」と考える。イスラエルでは奇襲は「第2ホロコースト」と呼ばれ、国を守るには「3万人の死者も仕方がない」ととらえる人も多いという。

(後略