結局「チー牛」って誰なのか…馬鹿にされ、自業自得と言われ「現代の差別のど真ん中にいる人たち」男の25%を占める「弱者男性」の悲惨さ
 現代は女性差別が問題視されるいっぽう、男性がバカにされることはいまだによく見かける風景である。たとえば、コミュニケーションが苦手な女性がバカにされることはほとんど無いが、男性は常に貶められる。その現象を端的にあらわすのが「チー牛」という言葉である。エッセイストのトイアンナ氏が解説するーー。

男性は結婚できないだけでなく積極的にバカにされる。ネットスラングで「チー牛」という言葉がある。

「チー牛」という新しい蔑称
 チー牛とは、牛丼屋で「三色チーズ牛丼を注文する若い男性」の自画像が、発達障害者やオタク、ネクラに多そうだという偏見から広まったものである。もともとはイラストを描いた方の自画像だったが、しだいに差別意識を表明する者によって転載されるようになった。

 もしこれが男女逆転していたらどうか。「三色チーズ牛丼を食べていそうな女は、情けで優しくすると急につけあがる、距離感の詰め方が異常、仲良くなっても面白くなくて不快……」などと書いたら炎上必至だが、少なくとも2024年4月現在、男性相手ならそうならない。

 むしろ、「チー牛」は根暗な男性、コミュニケーションに難がある男性を迫害する言葉として、ネットに定着した風ですらある。男性差別は、いまも笑いの種だ。チー牛とは、男らしさを持たない男性に対する烙印なのである。

男らしさから降りることも許されない
 では、そのような男らしさを強いる、男性社会から降りればいいではないか。というのも、よくネットで言われていることだ。しかし、これに対しても反論がある。

 2023年に「男らしさから降りればいい」という、SNSの投稿があった。その投稿を見たある男性が「だったら、怖い人に絡まれたときに、怯えて逃げる男性と添い遂げてほしい」と反論が届いたのだ。

 それに対して、元の発言をした女性は「それは弱い男ではなく、卑怯な男だ」と切り返した。だが、そうだろうか。「土壇場では男は女を守るもの。そうでなければ卑怯である」という前提がそこにはないだろうか。女を置いて逃げる男は、男ではないと認識していないだろうか。

https://news.livedoor.com/article/detail/26300695/