タスマニアデビルが絶滅の危機、原因は「伝染するがん」
5/1(水) 15:00配信

Forbes JAPAN

タスマニアデビルに、悪い知らせがある。タスマニアデビルのあいだでは、噛まれると感染する顔面のがんがいまだにまん延しており、その未来が脅かされているのだ。

米ワシントン州立大学を中心とする研究チームは、タスマニアデビルが感染する伝染性がんの再生産数が減少しているとする研究論文を2020年に発表した。しかし英ケンブリッジ大学を拠点とする科学者と獣医の3人による研究チームはこのほど、2020年の研究結果と相反する新たなエビデンスを明らかにした。

2024年4月に発表されたこの論文によると、研究チームが2020年の研究を再現したところ、誤りを発見したという。この誤りが原因で、絶滅の危機に瀕しているタスマニアデビルについて誤った見通しが導き出されていたとのことだ。

タスマニアデビル(学名はSarcophilus harrisii)は、小型の肉食有袋類で、強烈な臭いを放ち、遠くまで響き渡るようなうなり声をあげる。かつてはオーストラリア大陸全域に生息していたが、3500年ほど前にオーストラリア大陸では絶滅した。人間が飼っていた犬が野生化したディンゴに襲われたのが原因とされている。

現在は、その名のとおり、タスマニア島でのみ生息が確認されている。オーストラリア大陸の南にあり、ディンゴに襲われる心配のない小さな島だ。夜行性で、全身が黒い毛でおおわれており、狩りはあまりせず、死んでいる動物や残された腐肉を漁って食べることが多い。嗅覚が優れているため、暗闇でも、腐肉や腐りかけた肉を見つけるのが得意だ。



タスマニアデビルは、国際自然保護連合(IUCN)が作成するレッドリストで、危機(EN)に指定されている。その命を主に脅かしているのが、タスマニアデビル顔面腫瘍1(DFT1)という伝染性のがんだ。

この病気は、デビル顔面腫瘍性疾患(DFTD)とも呼ばれ、顔面の腫瘍が急拡大するという目立った症状が現れる。腫瘍が、口の内部を含む顔にできるため、餌が食べられずに餓死に至ることが多い。DFT1によって、個体数は60%以上も減少した。



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