顔に負傷した野生のオランウータン、「植物を薬として」塗って治す インドネシア

インドネシアに生息するスマトラオランウータンが、植物をペースト状にし、頬に負った大きな傷を自ら治療していたことが確認されたと、同国の科学者チームが2日に発表した。
野生生物が薬効のある植物を使ってけがを治療する様子が確認されたのは、これが初めて。
インドネシア・スマトラ島にあるグヌンルスル国立公園の研究チームは2022年6月、「ラクース」と呼ばれるスマトラオランウータンの雄が、頬に大きな傷を負っているのを見つけた。
ラクースはこの数日前に「ロングコール」と呼ばれる大きな鳴き声をあげていた。研究者たちはラクースが、対立するほかの雄のオランウータンと争って負傷したと考えている。
研究チームはその後、ラクースがカル・クニンという名の植物の茎や葉を噛んでいるのを確認した。この植物には抗炎症・抗菌作用があり、地元ではマラリアや糖尿病の治療にも使われている。
ラクースは噛んでペースト状になったカル・クニンを繰り返し頬に塗った。そして、傷が完全に隠れるまで噛んだ葉をのせ続けた。ラクースはこの植物を30分以上食べ続けた。
感染症の兆候はなく、傷口は5日以内にふさがったという。1カ月後には完治した。
科学者たちは、オランウータンがこの植物を食べることはめったにないことと、そしてけがの完治にかかった時間から、ラクースは自分が、薬として機能する植物を塗っているのだと、認識していたと結論づけた。

ソースに動画あり
https://www.bbc.com/japanese/articles/c3g8wx7pz0xo