ダニエル・ラドクリフ、2020年以降はJ・K・ローリングと直接やりとりしていないと明かす LGBTQコミュニティのサポートをあらためて表明
ハリー・ポッターを演じてきたラドクリフは原作者との決別が「本当に悲しい」と語った


「ハリー・ポッター」の原作者であるJ・K・ローリングのトランスジェンダーに対する発言は、小説や映画ファンのコミュニティを分断させてきただけではない。ハリー・ポッター役を演じ、LGBTQの権利を率先して支援するようになったダニエル・ラドクリフとの関係にも亀裂を生じさせている。

ラドクリフはThe Atlanticのインタビューで、トランスジェンダー女性を嫌悪するようなローリングの度重なる発言についてコメントし、全体の状況を「本当に、とても悲しい」と感じていると語った。


「自分が会ったあの人、僕たちが一緒に過ごした時間、彼女が書いた本、彼女が作り出した世界、そのすべてが僕にとってはとても深く共感できるものだと、本当に思っていますから」とラドクリフは言っている。

ラドクリフのコメントは、ローリングがXへの投稿で、ラドクリフとエマ・ワトソンがトランスジェンダーの権利を支持したことを許さないと書いたことを受けてのものだ。「女性が苦労して勝ち取った権利を侵食しようとする運動に賛同し、自分のプラットフォームを使って未成年者の性別移行を後押ししたセレブたちが謝罪するべきなのは、トラウマを抱えたディトランジショナー(性別移行を中断、あるいは再移行した人々)や、男女別のスペースを頼りにしている弱い立場の女性たちだ」とローリングは4月11日に投稿している。

またラドクリフは同インタビューで、ローリングが反トランスジェンダー的な投稿をし始めた2020年6月以降は、彼女と直接やりとりしていないことも明かした。ローリングはその後もトランスジェンダーの権利を主張する活動家たちを批判し続け、そういった人々はフェミニスト運動を傷つけていると主張し、TERF(Trans-Exclusionary Radical Feminist、トランス排除的なラディカルフェミニスト)を自称している。

2020年、ラドクリフは、LGBTQの人々の自殺防止のために活動する非営利団体「The Trevor Project」を通して、トランスジェンダーの権利をサポートするコメントを発表した。

「トランスジェンダー女性は女性です」と当時、ラドクリフはコメントで述べている。「これに反するいかなる発言も、トランスジェンダーの人々のアイデンティティと尊厳を抹消するものであり、この分野に関して(ローリングや)僕よりもはるかに専門的な知識を有するプロの医療機関による、すべてのアドバイスに反するものです」

ラドクリフはThe Atlanticのインタビューでこのコメントを振り返り、The Trevor Projectと12年間活動してきて、「わからないけど、何も言わないというのは、とてつもなく臆病なことに思えただろう」と話している

「コメントで傷つけられてきた人々の助けになりたいと思っていました」とラドクリフは続ける。「あれらがジョー(ローリング)の意見だとしても、『ハリー・ポッター』のフランチャイズに携わったすべての人の意見ではないと言いたかったんです」

ローリングが問題の投稿していた当時、ラドクリフはエマ・ワトソン、そして同じく「ハリー・ポッター」の共演者であるルパート・グリントとともに、トランスジェンダーの権利について発言していた。しかし、特に英国の新聞ではこのことについて、ある特定の取り扱い方がなされていたそうだ。

「“あの3人の子供たちは恩知らずのガキなのか?”といったタイプの記事をみんなずっと書きたがっていて、やっとそれができるようになったというわけです。だから、彼らにとってはよかったってことなんでしょう」とラドクリフは言っている。

「ジョー(ローリング)がいなければ『ハリー・ポッター』はなかったというのは明らかです。なので、あの人がいなければ、僕の人生の出来事は何も、今のような形では起こっていなかったでしょう」とラドクリフは続ける。「でも、だからとって、自分が心から信じているものまで、誰かほかの人のおかげだと一生思い続けなければならないわけではありません」

LGBTQのサポートを続けるラドクリフを許さないとローリングはコメントしているが、ラドクリフ自身は謝罪をするつもりはないようだ。「僕はすべてのLGBTQの人々の権利をサポートし続けますし、それ以上コメントすることはありません」とラドクリフは締めくくっている。
https://jp.ign.com/harry-potter/74663/news/2020jk-lgbtq