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https://news.yahoo.co.jp/articles/8a73cb3a1061c19239af522f35c40750308a3c44?page=3
倒壊した家屋の屋根を一気に解体するのかと思いきや、瓦だけを丁寧に剥がしていく。熟練職人の柳さんでも、屋根の瓦を全てはがすのに40分かかった。続いて木材を2本のアームでつかみ、へし折ってトラックへ。別のトラックには、カーペットや布類だけが載っていた。すべて分別して廃棄しなければならないのだ。これは東日本大震災の時に取り入れられた方法で、柳さんは「全部まとめて捨てられるなら早いけど」とこぼす。
この家に住んでいた藤野文博さんは柳さんとは古い付き合いで、柳さんは、藤野さんたちに確認しながら解体作業を進めていく。屋根の下から出てきたのは、子どもの時の卒業証書など、わずかに残った思い出の品…。藤野さんたちの思いに寄り添いながら解体するため、1軒に10日前後費やす。「やなぎ企画」のような規模の解体業者では、月に2~3軒が限界だ。
実は柳さんの自宅も全壊していたが、「自分の家は見たくないし、あまり行っていない」と、家の中はあの日のまま…。今は週1回の休みで、給料は月に30万円ほど。「やなぎ企画」の作業員はみな能登出身で、住むところを失った被災者でもある。