戦時下のラーメン、追求する「日本の味」 ウクライナ人が守る日常

 バーカウンターを備えたしゃれた店構えは、とてもラーメン店には見えない。壁には日本のポスターが並び、天井からはカラフルなちょうちんがぶら下がる。

 若いカップル客らでにぎわう店内でソファに腰かけ、スマホでメニューを読み込む。みそ豚骨ラーメンを注文した。

 とろけるようなチャーシュー、絶妙な硬さでゆでられた細麺に濃厚なスープが絡む。

 徹夜明けの体に染みわたる思いがした。

 日本で出店しても人気になるだろう。そう思いながら店を出た。

 周囲のカフェでは、テラスで会話を楽しむ人たちの姿もあった。

 だが、平穏に見えるこのひとときは危険と隣り合わせだ。

 9月下旬のこの日、ウクライナの首都キーウでは、未明から昼過ぎまで空襲警報が続いた。

 警報を知らせるスマホのアプリが15回以上、けたたましく鳴り響き、私は滞在先の地下シェルターで眠れぬ夜を過ごした。

 朝までに80近いロシアの自爆ドローンやミサイルがウクライナの街に飛来した。

 戦争に翻弄(ほんろう)されるウクライナ。だが、そこに「日本の味」を極めようとする人たちがいる。ラーメン人気を受け、戦時下でも新規出店が相次いでいる。

自宅と車を売って手に入れた日本の製麺機

 私がこの日訪れた「ナウシ」もその一つだ。

 なぜラーメンなのか。

 厳しい状況下でラーメンにこだわる人たちに会いたくなった。

https://www.asahi.com/articles/ASSBR6KGPSBRUHBI00GM.html
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