長野県佐久市で2015年、中学3年の男子生徒が車にはねられて死亡した事故で、道路交通法違反(ひき逃げなど)に問われた男性被告(52)に、最高裁が7日、判決を言い渡す。男性は飲酒の発覚を免れるため事故直後に現場を数分離れており、救護義務を果たしたかどうかが争点。「一分一秒を争う救護の大切さを示す判決を」と両親は訴えている。(長野支局 安田ななか)

事故は15年3月23日夜に起き、塾帰りに横断歩道を渡っていた和田 樹生みきお 君(当時15歳)が、男性の車にはねられた。男性は友人らと飲酒後、車を運転して2次会に向かう途中だった。男性は車を止めた後、約50メートル離れたコンビニで口臭防止用の商品を購入。数分後に現場に戻り、人工呼吸をするなどした。

発生約30分後の呼気検査でアルコール分が基準値を下回っていたことなどから、男性は自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致死)の罪だけが問われ、長野地裁佐久支部は15年9月、禁錮3年、執行猶予5年の判決を言い渡し、確定した。

「すぐ救護をしていれば、息子は助かったのではないか」。父・善光さん(54)と母・真理さん(53)は、署名活動や独自の事故調査を行うなどして真相究明を求めた。時効まで残り2か月に迫った22年1月、長野地検が男性をひき逃げで在宅起訴。事故直後に店に行くのを優先したことで救護義務を怠ったと判断した。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20250205-OYT1T50105/