>>23 2019年の記事
www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=2997
トランプ政権2年のウクライナ政策:「懸念される政策転換」から「歓迎される政策転換」へ
トランプ政権下の「政策転換」を歓迎するウクライナ
しかしこうしたウクライナ市民の懸念とは裏腹に、トランプ政権のウクライナ政策は全く異なる軌跡を辿ることになった。トランプ政権下のアメリカにおいて、対ロシア制裁は解除・緩和されるどころか、むしろ強化されることになった。
またトランプ政権は、ティラーソン(Rex Tillerson)国務長官(当時)の主導によって、ウクライナ問題担当特使という新しいポストを国務省に設け、カート・ヴォルカー(Kurt Volker)氏を同ポストに就任させた。人員削減や空席ポストが目立つトランプ政権下の国務省の状況を踏まえると、このポスト新設の動きはまさに際立ったものであり、ウクライナ問題の解決に向けたトランプ政権の強い姿勢を示すものとも受け止められた。
更にトランプ政権は、オバマ政権が拒み続けたウクライナへの殺傷防衛兵器の供与にも踏み切った。この武器供与は、アメリカによるウクライナ支援強化の象徴とも見られており、再選をかけた選挙を2019年3月に控えるポロシェンコ(Petro Poroshenko)大統領の政治的得点になったとも指摘されている。
このように、トランプ政権はウクライナ政策の分野で、オバマ前政権からの「政策転換」を果たしたことになるが、この「政策転換」は、トランプ氏勝利の際にウクライナ市民が恐れた「政策転換」とはまさに正反対のものである言っていい。すなわち、対ロシア制裁を解除して、アメリカが紛争解決から身を引くという意味での「政策転換」ではなく、ウクライナへの軍事支援を強化して、紛争解決に向けてアメリカが更に関与するという意味での「政策転換」となったのである。
ウクライナの視点に立つと、「懸念すべき政策転換」を回避したばかりか、「歓迎すべき政策転換」を引き寄せたということにもなるだろう。
そもそもトランプが軍事支援始めたんだが?