■A医師「私の生活や仕事、そして家族を奪われた」
差し戻し控訴審の判決後、A医師は記者会見に臨み「私の生活や仕事そして家族を奪われたこと、警察と検察に対して強く憤りを感じます」と怒りを露わにした。(※1)

この9年間に、A医師は身体を拘留され、職場や名誉を失っただけでなく、息子も失っている。控訴審で有罪判決を受けた数カ月後、中学生だった息子が総武線に飛び込んで自殺した(※2)ことを一部メディアが報じている。多感な年代に「実父が性犯罪者」という社会的プレッシャーが耐えられなかったのだろうか。今後、失った金や名誉を償ってもらうことはできても、息子は戻ってこない。

※1「ふたたび『無罪』になった乳腺外科医、捜査機関やマスコミに憤り『生活や仕事そして家族を奪われた』」(弁護士ドットコムニュース、2025年3月12日)
※2「手術後『わいせつ行為』事件で逆転有罪の外科医の子息が自死」(『選択』2020年10月号)