
京大・柏原氏にアーベル賞 「数学のノーベル賞」、日本人初
サイエンス
2025年3月26日 20:00
アーベル賞受賞が決まった京都大学の柏原正樹特定教授
ノルウェー科学文学アカデミーは26日、「数学のノーベル賞」とされるアーベル賞の2025年の受賞者に、京都大学の柏原正樹特定教授(78)を選んだと発表した。日本人の受賞は初めて。柏原氏は数学の幅広い分野に活用できる「D加群」と呼ばれる理論を確立し、現代数学の発展に貢献した。
柏原氏は東京大学在学中に世界的数学者の佐藤幹夫京大名誉教授と出会い、数学研究の道に進んだ。数や式の性質を扱う代数学と微分積分に代表される解析学が融合した「代数解析学」を専門とし、佐藤氏が構想したD加群という理論を柏原氏は基礎から築き上げた。
代数学の抽象的な概念を行列などで具体的に表す「表現論」の研究でも大きな成果を上げた。分野の垣根を越えて現代数学の発展に広く貢献し、物理学や情報科学などにも影響を与えた。
アーベル賞はノーベル賞に匹敵する数学分野の科学賞として、03年にノルウェー政府が始めた。賞の名前はノルウェー出身の数学者アーベルにちなむ。賞金は750万ノルウェークローネ(約1億円)で、授賞式は5月20日にオスロで開く。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG255VQ0V20C25A3000000/