「セクハラへの寛容さと地続き」

この問題を調査してきた第三者委が31日に開いた記者会見。委員長の竹内朗弁護士は「女性は中居氏による性暴力を受けた。その日付を切り取ればフジ社員の関与はなかったが、中居氏と女性は業務上の関係で権力格差もあり、業務の延長と認定した」と述べ、業務の延長上に性暴力があったと判断したことを明らかにした。

さらに、トラブル後も中居氏の番組出演を継続した判断などは、被害女性への二次加害に当たると指摘した。

その上で、「社内のセクハラに寛容な企業体質があり、その地続きで取引先からの性被害があった。一部の社員をハラスメントにさらしながら業務を遂行している」と経営陣を厳しく批判した。
「ハラスメント体質」登用せず

こうした報告を受け、清水社長は再生・改革プランを発表。具体的には、社員らに対するコンプライアンス研修の徹底的な実施や、相談窓口の改善、懲戒処分事案の「見える化」などを挙げている。

加えて、トラブルが起きやすい会食の場におけるガイドラインを周知し、不適切な経費利用を防ぐためチェック体制と処分の強化なども実施する。

清水社長はこうした取り組みによって視聴者やスポンサーの信頼回復を図ると強調。加えて「ハラスメント体質かどうかは人事考課や昇進の大きな要素だ。どれだけ優秀でも登用することはない」「人権侵害を起こすリスクがあるタレントは決して起用しない」などと言い切り、社員の人権を守る姿勢を明確に示した。

ただ、スポンサーのCM再開については「簡単に判断が下るとは思っていない」と慎重な姿勢を崩さなかった。

3月25日時点で、スポンサー約100社のうち、7割弱が4月以降の広告出稿について判断を保留した状態だ。「こうした改善策を確実に実行し開示していくことで、初めて認めてもらえる」と訴えた。
報道局が独自に検証

一方、社内でも一連の問題を独自に検証しようとする取り組みが始まっている。フジ関係者によると、経緯や問題点を検証する番組を制作するためのチームがすでに発足した。事件や官庁などの取材現場で実績を残してきた若手から中堅記者が集められており、「報道局の本気度が伺える」(関係者)という。

今後、退任した役員を含めて関係者への取材も想定される。清水社長は「独立性をもってやると思うので、私から何か言うことはない」と強調した。

制作チームがどこまで問題に切り込めるのか。検証番組の中身も注目される。(大森貴弘)
https://www.sankei.com/article/20250401-WRYWKVRFEBNNLFAHANX56SX6SA/