
米企業の間では、「トランプ関税」の名目で顧客向け料金に上乗せする動きが出ている。値上げの原因を明確に示そうとするものだが、政治的関心の高まりを利用したマーケティング手法でもあり、一部のニッチなブランドにとっては収益機会となる可能性がある。
こうした責任転嫁的な値上げは顧客離れを招く恐れもあるため、広く普及する可能性は低いとみられている。しかし一部の事業者は、価格上昇の理由を消費者に率直に伝える方が良いと考えている。
フィルター機能付きシャワーヘッドを製造するジョリー・スキンのライアン・バベンジエン氏は「私たちは透明性が最も重要だと考えている。この関税を全米の消費者に課すと決めたのはトランプ氏であり、全責任は彼にあると考えている」と語った。
バベンジエン氏によると、同社は来週から「トランプ解放関税」と名付けた追加料金を導入する方針だ(訳注:トランプ氏は関税措置発表の日を「解放の日」と呼んだ)。150ドルのシャワーヘッドに対してどの程度の追加料金を課すか、同社では現在も計算中だという。
追加料金を明示することは、販売価格が必ずしも事業者の裁量だけでは決まらないことを消費者に示す一つの方法だ。特に、燃料費や輸送費といったコストが急騰する場面では、その傾向が顕著になる。今年に入って卵の価格が急上昇した際、一部の飲食店がメニューに追加料金を加えたケースもあった。
大手の小売業者やブランドは、サプライチェーン全体で追加コストをどう吸収するかの対応に追われている。一方、中小企業には値上げ以外の選択肢がない可能性がある。
Eマーケターのアナリスト、スカイ・カナベス氏は「関税に関する不確実性が高まる中、関税による追加料金を明示する手法は消費者の理解を得られる可能性があり、より多くのブランドで普及が進めば定着していくかもしれない」と語った。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-04-11/SUKCVODWRGG000