
私は今や問う:海洋列強の駐日代表らの措置は,いかに評価しなければならないのか?それは明らかに,真の貿易の激変を既に招来し,これまで政府や同胞らに対してまだ寄せられてきた信頼というものを,無知,いやそればかりか誤った見方,頑固さ,そして受け入れられた規定への盲目的固執により,地に落ちさせ,そうすることにより,本国政府はかくも重要な案件の真の状況について知らないままで,徐々に敵対関係-いわゆる示威行為〔demonstratien〕-を,いや相互に取り返しのつかないような戦争さえをも,呼び起こしかねないような紛争への道を開いたもの〔措置〕である。
私は今やさらに,祖国を愛し,正しい考えを持ち,正しい心情を有する,海運・貿易を行う世界の読者に向けて,以下の問いを向ける:重要度の軽い〔minwigtige〕,単なる代理通貨と見なされた日本の貨幣との,天引きなしの同重量に基づくドル交換の要求は,合理的な規則,正当性と妥当性に基づいているだろうか?
上述で言及された条約条項の適用という,無知または故意により受け入れられた〔貨幣交換の〕システムは,関係する海洋列強の名誉と尊厳,そして祖国や植民地の商業を促進するという諸国に課された義務と,両立可能なのか?列強の国旗の下に,卑劣な強奪貿易に成り下がった投機行動に手を貸すことを当然許すものではない義務と?
福岡万里子「[資料紹介] シーボルト『日本からの公開書翰』(上) : 第一・第三公開書翰」『国立歴史民俗博物館研究報告』(254集 2025年)
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