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電通依存のツケを払う万博…「吉村知事は敗北を認めるべき」開幕1週間で経済誌元編集長怒る「事故ではなく思想の問題」


 吉村知事は2025年4月12日の会見で「これはまずい」と思ったのは2023年春だったと語った。海外パビリオンの工事が間に合わないと知り、岸田首相に直談判もしたという。だが、危機感を口にしたところで、現場が改善されていなければ意味はない。開幕日に見せたのは、工事用のコーンが残る仮設エリア、予約できない通信障害、会場案内の混乱、そして「何も準備されていなかった」という来場者の嘆きだった。改善の兆しはなく、全てが後手に回っていた。

 原因は構造にある。万博の設計段階で中核を担うべきだったのが「博覧会のプロ」電通だった。1970年大阪万博以来、日本の国際博は電通が招致からパビリオン設計、動線設計、広報展開まで一貫して関わってきた。2022年に発覚した東京五輪汚職事件の影響で、万博協会は2023年2月に電通を指名停止にし、運営から排除した。その結果、広報設計、PR戦略、動線設計、会場演出といった全体の「骨格」が崩れた。報道関係者からは「地方展示会のよう」との声もあがり、国際博としての格が問われる事態となった。

 この構造的不在を埋める代替案は、最後まで現れなかった。その結果、万博は国家プロジェクトでありながら、統合的なビジョンを欠いた寄せ集めの催事となった。莫大な予算をかけて、世界中から注目を集めた国家的催事の中核を「実務ノウハウの欠如」によって潰すという、極めて日本的な自壊が起きたのである。
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